2024.11.12

【密着】「武道×観光」でインバウンド獲得増目指す人気ツアー…通常旅行との違いやメリットとは?(静岡)

ニュース 剣道や柔道など日本発祥の「武道」が外国人に人気ですが、今、武道と観光を組み合わせてインバウンドを目指すツアーが注目を集めています。通常の旅行との違いやメリットは?今月、静岡県内で行われた剣道ツアーに密着しました。

剣道や柔道など日本発祥の「武道」が外国人に人気ですが、今、武道と観光を組み合わせてインバウンドを目指すツアーが注目を集めています。通常の旅行との違いやメリットは?今月、静岡県内で行われた剣道ツアーに密着しました。

「武道ツーリズム」という言葉を知っていますか?これは、外国人に人気の「武道」をきっかけに日本に来てもらい、そこで観光も一緒に楽しんでもらおうというスポーツ庁が進める取り組みで、すでに全国各地で、剣道や柔道、空手に相撲など、さまざまな武道と観光を組み合わせたツアーが開催されています。

県内でも11月1日から1週間の日程で、剣道を体験しながら観光も楽しむ「剣道ツアー」が開催されました。この日は、静岡市内で行われた「朝稽古」に参加。みなさん、海外では剣道の経験がありますが“朝稽古”は初体験の人ばかり。

(イギリスから ルークさん・一級)
「自分が住んでいるところには朝稽古はなくて新鮮だった」

(オーストラリアから バーナードさん・五段)
「朝稽古、楽しかったよ。日の出前に防具を着て、オーストラリアにいるときと全然違う気持ちになったよ」

2024年は、戦国時代の日本を舞台にした「SHOGUN」がアメリカでエミー賞を受賞するなど、世界中から日本の武道への注目が高まっています。

(イギリスからの参加者)
「『SHOGUN』が放映されてから、剣道への関心が高くなって、道場に来る人が多くなったよ。次のブームが来るかもね。間違いなく来ると思うよ」

(メキシコから レイさん・三段)
「日本に来る飛行機で見たよ」「剣道は15年やってるけど『SHOGUN』を見て剣道がもっと好きになったよ」

ツアー初日の夜。

(ツアー参加者)
「カンパ~イ」

静岡市内の料理店で開かれたウェルカムパーティーで、日本料理を楽しむ参加者の姿が。

(ツアー参加者)
「あつっ」

(ツアー参加者)
「熱い?」

(ツアー参加者)
「これまで豆腐といえばスープの中に入っているものだった」

剣道の稽古だけでなく、県内各地の食や伝統文化を楽しむことができるのもこのツアーの魅力です。

このツアーを企画したニュージーランド出身・静岡在住のグレアムさんは、「教士7段」という、日本人でも限られた人しか取ることができない、かなり上位の腕前で、母国では長年、指導者として剣道の魅力を伝えてきました。このツアーは、4月にも開催していて、2024年2回目の開催で、今回はオーストラリアやニュージーランドなど8か国から11人が参加しました。中には、夫婦で参加している人も。

ツアーには、毎日、県内各地の剣道場での稽古が盛り込まれていて、その前後では、周辺の観光施設などを巡るスケジュールとなっています。静岡市内では日本平や丸子を訪れ、日本の伝統文化に触れたほか、日本食を楽しみました。

さらに、富士山がうっすら雪化粧をしたこの日は、伊豆の人気観光スポット土肥金山へ。訪れた先での通訳や案内も、グレアムさんが行います。

(ツアー参加者)
「オ~」
「スゴイスゴイ」

世界一の金塊に参加者も大興奮!!

(ツアー参加者)
「頭を入れて撮ろう」

さらに、海外では珍しい「おみくじ」も体験します。

(ツアー参加者)
「大吉で~す」
「スゴイデスネ」

(メキシコから レイさん・三段)
「おみくじは見たことあるけど、これだけたくさんあるのは初めて見たよ」

そして、一行は駿河湾が一望できる土肥の海岸へ。目の前に広がる美しい伊豆の海を写真に収めていました

(オーストラリアから エリックさん・五段)
「ここは期待を超えるぐらいとっても景色が美しい。剣道と観光を掛け合わせた素晴らしいツアーだよ」

さらなる絶景を求め、展望デッキにも登ります。

(グレアム セイヤさん)
「焼津の道場があそこにあって、内側を沿って行くんだよ」

お昼は、沼津港で海鮮焼きが味わえるの店。新鮮な海の幸をほおばっていました。

さらに「日本の精神文化」を学ぶため、焼津市の「林叟院」で「座禅体験」も。

(林叟院 住職)
「目は斜め下の方を見る」

(イギリスから ルークさん・一段)
「ベリーナイス、ベリーピースフル」

(ツアー参加者)
「思ったより難しかったよ何も考えないようにするのがとても難しいね」

(林叟院 住職)
「道というのは自分の心を高めていく、そして皆さんを助けてあげる」

(ツアー参加者)
「ありがとうございました」

この日、最後に向かったのは…やはり剣道場。

(稽古参加者)
「礼!」
「お願いします」

この「知恩剣修館」は、グレアムさんが20代のころから稽古を積んできた場所。外国人にとって、個人経営が多い“町道場”は敷居が高く感じられますが、それを解消しようと、グレアムさんは、ここで、年会費を払えば来日時に気軽に稽古へ参加できる「国際メンバー制度」を始めました。そうした外国人に寄り添った日本側の受け入れ態勢作りも「武道ツーリズム」の発展には大切だといいます。

約1時間の稽古に汗を流した参加者たち。

(オーストラリアから バーナードさん・五段)
「2度目の参加だったけど、今回は妻と一緒に参加できて良かったよ」

(オーストラリアから オードリーさん・五段)
「夫が前回参加した写真を見せてもらって、次は一緒に参加したいと思って来ました」

(オーストラリアから バーナードさん・五段)
「来日するときはいつも剣道ばっかりだけど、このツアーでは地元の人にも会えるし、静岡のの料理や富士山も見られてたくさんの遺跡や博物館も案内してもらえるから、すごくよかったよ」

(イギリスから ルークさん・一級)
「今度は自分の家族を日本に連れてきたいよ」「道場を見せてあげたい。そうしたら剣道をやってみたいと思ってくれるかもしれないから」

剣道だけではなく観光も楽しめたことで、参加者の満足度はかなり高かったようです。武道と観光を組み合わせて注目を集める「武道ツーリズム」。県内でも、今後、、剣道ツアーだけでなく弓道ツアーも検討されていて、新たなインバウンド獲得への大きな足掛かりとなりそうです。

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