東静岡駅前の新アリーナ計画が大きく前進することになります。
静岡市の難波市長は、14日、地元住民との意見交換会を開き、「理解が得られた」との見解を示しました。
(白鳥 貴久 記者)
「アリーナの整備について、地元の自治会や住民に説明するため、いま難波市長が公民館の中へと入ってきます」
14日、開かれたのは、地元の自治会や住民を対象とした東静岡のまちづくりと新アリーナ構想について話し合う「意見交換会」。静岡市によりますと、街づくりの方向性や新アリーナの必要性などについて意見を交わしたということです。
東静岡駅周辺の街づくりを巡っては、静岡市は駅の南口と北口をつないだ「文化・スポーツの拠点」の整備を目指しています。
その中心にあるのが、北口にある市有地に建設する“新アリーナ計画”です。
2024年、基本計画案を発表し市民への説明会を実施するなど、難波市長も新たな街づくりの重要性を何度も訴えてきました。
(難波市長)
「投資を怠ると衰退していくので、投資をしながらどうやって新しい街づくりをしていくのか」「現状の延長上ではない、30年50年先を見た取り組みを話し合っていくのが大事だと思う」
“新アリーナ”は、現在の基本計画案で、事業費は約300億円。プロスポーツの試合や人気アーティストのライブが可能な最大1万人規模を想定し、2030年のオープンを目指しています。市が試算した“新アリーナ”の経済波及効果は30年間で5000億円以上。難波市長も「全市民への投資になる」と期待を寄せています。
(難波市長)
「ここで所得が生まれることが一番大きな効果」「若い人の雇用の場が生まれて所得が得られる。所得は市民全体に回っていくので、そこが非常に大事なポイント」
また、“新アリーナ”には、商業施設やホテルなどを設けてイベントがない日でも集客できるようにするほか、災害が起きた際には緊急物資の集積所として活用する方針です。
一方で、地元住民からは、交通渋滞や騒音問題のほか、“費用対効果”を懸念する声が上がっていました。こうした中、14日、非公開で行われた意見交換会には、地元の自治会役員や住民、約20人が出席。静岡市によりますと、東静岡地区の「まちづくり基本構想」の骨子案が示されたといいますまた、アリーナとJR東静岡駅、静岡鉄道の長沼駅を高架型の歩道でつなぐ、「ペデストリアンデッキ」の概算事業費が、約45億円であることを初めて明らかにし、住民に理解を求めたということです。説明を受けた地元の自治会長は…。
(長沼3区自治会 杉山 輝雄 会長)
「(新アリーナに)期待するものは、まだそれほどピンときていないが、むしろ心配する方が多い。人の流れがどうなるのか、車の渋滞はどうなのか、それから騒音の問題」「渋滞については対策を講じてくれているが、まだまだ解消できるところまでは至っていないので、これからの課題だと思っている」「市長が、ここまで踏み込んでいろいろと説明してくれた以上は、あとは信じて任せるしかない。きょうの出席者はみんなそういう気持ちだったと思う」
「課題は残っている」と指摘した上で、“新アリーナ”の建設に合意する考えを示しました。一方、難波市長も「理解が得られた」との見解を示し、建設に向けた来年度予算案の編成など最終調整に入りたいと述べました。
(難波市長)
「令和7年度予算に“アリーナ計画”と“まちづくり”、特にペデストリアンデッキをどうするかという計画の予算をのせることで、今、最終調整中だが、それについて『よろしいでしょうか』と聞いたところ、特に反対はなかったので、令和7年度予算にアリーナとまちづくりの予算を入れていくことについては、賛同というか、反対の意見はなかった状況」「地域の方の理解は相当得られたと思っているので」「議会に出すための最終的な検討や調整をしていきたいと思っている」
正式な事業化へ大きく前進する“新アリーナ計画”。静岡市は、運営について民間事業者を誘致し、建設費を分担する方式をとる予定で、市は2025年度から、本格的に事業者の選定を行うとしています。
2025.01.14