2025.01.23

【冬の定番果物に異変】静岡のみならず全国の産地で今季ミカンの価格が高騰…一体何が起きているのか?

ニュース 庶民の冬の味覚・ミカン。今シーズン、静岡県内だけでなく全国の産地で価格が高騰しています。一体何が起きているのでしょうか。

庶民の冬の味覚・ミカン。今シーズン、静岡県内だけでなく全国の産地で価格が高騰しています。一体何が起きているのでしょうか。

1月22日、総理官邸を訪れたのは「三ヶ日みかん」の生産者です。贈呈されたミカンをさっそくほおばり…みかんジュースも一気に飲み干した石破首相。

(石破首相)
「甘さと酸味の絶妙なバランスということでしょうか。作るのは大変だったと思います」「おいしいミカンを作る秘訣は何ですか?」

(三ヶ日みかん生産者)
「愛情しかありませんね」

総理も笑顔で絶賛した「三ヶ日みかん」。しかし、今、全国の産地で“ある異変”が起きています。

23日、静岡市内のスーパーをたずねると…。

(島田 悠以 記者)
「冬の果物の定番といえるミカンですが、こちらの『三ヶ日みかん』は1袋税抜き598円となっています」

2024年より100円高くなっているといいますが、値上がりしているのは、三ヶ日産だけではありません。店に並ぶ和歌山県産や愛媛県産のミカンも2024年を上回る価格だといいます。21日に発表された農林水産省の食品価格動向調査によると、ミカン1キロの販売価格は平均969円、前の年の同じ時期に比べ「250円」も高くなっています。

(田子重 西中原店 増田 克己 店長)
「ミカンはこたつに入りながら何個も食べられるっていう、安いのがメリットというか気軽に食べられるミカンが、ことしは高いと、お客様も気軽に購入しづらいのが現状です。そこが残念かなと思います」

庶民的な果物が軒並み高値に。買い物に訪れた人たちは…。

(買い物客)
Q.この値段みてどう?
「高い」「せめてあと200円くらい安ければね」

(買い物客)
「まあまあ、前よりは少しは高くなったかなーと、でも、こんなもんかなーって思ってるんだけど」「しょうがない、何でも(値段が)上がっちゃってる」

生産現場で何が起きているのでしょうか。一面にミカン畑が広がる浜松市浜名区の三ヶ日町。22日、私たちが訪ねたのは生産者の藤井一輝さん。今シーズンは収穫量が増える「表年」でしたが…

(三ヶ日みかん 生産者 藤井 一輝さん・32歳)
「幸い私のミカン園では、ある程度、対策していたので、例年に比べて1割減ぐらいになっているが」「三ヶ日でも、ほかの園主に話を聞くと2割ダメ、3割ダメということも聞いているので」「非常に収量が減っているというかたちになると思います」

その理由は、夏の猛暑と台風による大雨…それに追い打ちをかけたのが大量に発生したカメムシでした。

(三ヶ日みかん 生産者 藤井 一輝さん・32歳)
「猛暑があった後、乾燥した後に、いきなりどんと雨が降ってしまった時季もあってですね」「割れてしまう実がたくさんあったかなという印象になります」「カメムシも大量に発生してしまって、ちょうど色づいてくるようなミカンを加害されてしまって、出荷できないようなミカンが大量に発生してしまったかたちになります」

これは、出荷を控えるミカンの貯蔵庫。収穫シーズンに入ってからも「苦難の連続だった」といいます。

(三ヶ日みかん 生産者 藤井 一輝さん・32歳)
「11月がかなり暖かかった。ミカンは紅葉と同じようなシステムで気温が下がらないとミカンが色づかないので」「ひどいミカン園だと半分ぐらい“青残り”で出荷できない」

本来、ミカンは秋に黄色く色づきますが、なかなか気温が下がらなかったため、出荷できない「青い」みかんが多く出たそうです。

さらに、生産者の頭を悩ませているのが“資材の高騰”です。肥料に農薬…ガソリンに光熱費など、ミカンの栽培に欠かせない、あらゆるものが値上がりしているといいます。

(三ヶ日みかん 生産者 藤井 一輝さん・32歳)
「かなりきついですね。燃料費や肥料費が上がっていくと、利益だけが削られるので、これ以上、上がると、それだけで赤字になってしまう農家がいっぱい出てくるのではと思います」

来シーズンの生産に向けた不安もあります。12月に雨が極端に少なかったことで“ミカンの木”にも影響が出ています。

(三ヶ日みかん 生産者 藤井 一輝さん・32歳)
「本当は葉っぱが10枚ぐらいついていると思いますが、落ちてしまって、乾燥の影響だと思います」「来シーズン、弱った木にミカンがなるのか、品質のいいミカンがちゃんとお届けできるのかというところが一番心配なところです」

しばらく高値が続く見通しの「三ヶ日みかん」。生産者の藤井さんに“消費者に伝えたいこと”をたずねると…。

(三ヶ日みかん 生産者 藤井 一輝さん・32歳)
「大衆の果物で家族団らんで囲んで、ミカンを何個も気にせず食べていたフルーツだと思いますが」「異常気象で非常に苦しいところではありますが、これをカバーできるだけの技術向上や努力はしているつもりなので」「ミカンを消費していただく人が減らないと、一番うれしいかなと思います」

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