2025.01.21

【バイク】「トライアル」で日本一になった“スーパー中学生”その素顔と競技への思い…目指す未来とは(静岡)

ニュース バイクに乗ったまま足をつけずに障害物を越えていく“トライアル”という競技で日本一になったのは、なんと、静岡県内の中学3年生。いったいどのような選手なのでしょうか。この競技にかける思いや、目指す未来を取材しました。

バイクに乗ったまま足をつけずに障害物を越えていく“トライアル”という競技で日本一になったのは、なんと、静岡県内の中学3年生。

いったいどのような選手なのでしょうか。この競技にかける思いや、目指す未来を取材しました。

急な山の斜面を巧みなテクニックで登り、大きなコンクリートブロックにもバイクごと飛び乗ります。これは“トライアル”というコース内に作られた自然の地形を活かした岩や坂、さらに、タイヤや木材など人工的に作られた障害物を足をつけずにいかに上手く走れるかを競うバイクスポーツ。かなり過酷なコースで、ケガをせず、バイクも壊さずに、好成績をあげることが求められる難しい競技です。この種目の全国大会である「グランドチャンピオン大会」で見事、優勝した選手が静岡にいます。それもなんと中学3年。経験も多い大人たちを押しのけ日本一に輝いたのです。

それが、袋井市に住む木村倭さん・15歳。中学3年生で、学生生活を送る傍ら、トライアルの選手として練習に明け暮れる日々ですが、そもそも、トライアルを始めたきっかけとは…?

(木村 倭さん・15歳・中学3年生)
「じいじとか、パパとかの影響で、やりたいな~って、かっこいいな~って思って始めました」

木村家は、親子3代にわたりトライアルに打ち込んできたトライアル一家。お父さんの大輔さんは現在もトライアルの選手として活動していて、祖父の治男さんは、現役を引退しているものの、18歳のときに初代全日本チャンピオンに輝くなど、日本のトライアルの“先駆的存在”なのです。そんな祖父や父に憧れてトライアルを始めた倭さんですが、最初に始めたのは自転車によるトライアルでした。

(木村 倭さん)
「自転車をやり始めたのは、ほんと2歳とか、そんぐらいからもうずっと好きで、1日中乗ってました」「最初、バイクの方がやりたくて、いきなりやっぱバイクの方をやると、体できてない状況でやると、体壊しちゃうんで、自転車でちょっと体つくって、そこからバイクに転向したって感じです」

トライアル一家の木村家は、トライアルバイクの販売や修理に加え、競技の普及活動などを行うトライアルショップを運営しています。幼い頃から、バイクに囲まれて生活してきた倭さんは、中学生にしてバイクの扱いも、お手の物。

(木村 倭さん・)
「まずは、前タイヤが外れました」

この日も愛車のタイヤを自分で交換。

(木村 倭さん)
「やはり、かっこよくなりましたね。タイヤかわると」
Qよりうまく走れそう?
「そうですね、きょう、ちょっといい走りできそうです」

“トライアル”は、ライダーとバイクの相性が重要な競技でもあるため、手入れも欠かせません。お父さんからの教えで愛情を持ってバイクと接することを心掛けているそうで…。

(木村 倭さん)
「やはり、人みたいな扱いはするようにしてます。練習したあと、すぐに洗車したりとか、綺麗にしたりはしてます」

タイヤを交換したバイクを車に積み込み、さっそく練習へと向かいます。練習場まで車で40分ほどの移動中も車内での親子の会話はやっぱりバイクの話題です。

(木村 倭さん)
「アクセルの部品を替えたから、それを慣らす感じで」

(父・大輔さん)
「部品がひとつ替わるとバイクの動作も変わるから」「最初は感覚に慣れることが重要」

そして、練習場に到着したら、まずは30分ほどバイクを走らせてウォーミングアップ。この日は、お父さんの大輔さんも一緒にバイクを走らせますが、親子で一緒に競技に取り組めるのも木村家ならでは。

(父・大輔さん)
「子どもが活躍しだすと、どうしても親って腕組みして見守るのが当然になってくるんですけど、一緒になって楽しめるっていうのは、やはりいいなって、僕は感じますね」

ある程度、体が温まったら、岩や坂などに挑んでいきます。この日の目標は、この坂を上まで登り切ることだと言いますが、かなり急斜面…。しかし、これぐらいの坂で怖気づくことはなく、何度も何度も果敢に挑戦していきます。そして。

見事、登り切ることができました。

倭さんが自転車のトライアルからバイクに転向してまだ1年ほど。しかし、2024年11月に和歌山県で開催されたグランドチャンピオン大会では、多くの大人たちも参加する72人の選手の中から見事優勝し、日本一の座をつかんだのです。そんな息子の急成長を、お父さんは?

(父・大輔さん)
「最初はもう本当に意識して、やっぱり父親の威厳とかあるじゃないですか、簡単に負けちゃダメだと思ってたんですよね。で、ある一定の時に、やっぱ倭の毎日の熱量がすごくて、トライアルに対する」「これだけ真しにスポーツに取り組む姿勢、それが素晴らしいなと思って。そこからはライバル視っていうよりも、共に高め合う仲間だと思って接してますね」

祖父や父親に対する憧れから始まり、今や日本のトライアルを背負う選手として日々、練習に全力で取り組む倭さんですが、トライアルはどのような存在なのでしょうか?

(木村 倭さん)
「自分の理想の競技ですね、やはり。一番、なんの競技見ても、楽しいなって思えるのが、やはりトライアル。一番、能力、自分の中の能力を発揮できるのがトライアルだと思います」

そして、今後の目標を聞いてみると…。

(木村 倭さん・15歳・中学3年生)
「まずは、全日本選手権、そこでチャンピオンとるっていうことで」「世界選手権にもチャレンジしたいなっていうことで、一番の目標は、やはり、世界チャンピオン狙って、頑張りたいと思います」

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