2025.03.04

【解説】新年度予算案は参院審議へ…“ガソリン減税”の行方含め国政動向を政治ジャーナリスト青山氏が詳しく

ニュース 新年度予算案は衆院を通過し、与党は参院審議を経て年度内成立を目指しますが、「年収の壁」見直しや「ガソリン減税」の行方を含め、与野党攻防、国政の今後の見通しを政治ジャーナリストの青山和弘氏に詳しく解説してもらいます。

【スタジオ解説】
(伊藤 薫平 キャスター)
予算成立のために各野党と協議をして修正案を模索してきたという背景があります。そうした中、与党は日本維新の会が主張します高校授業料の無償化を予算に盛り込むことによって、可決にこぎつけたということになります。さらに維新は、年収103万円の壁の見直しについて、所得制限を設けた上で、年収の壁を160万まで引き上げるという与党案に合意をしました。これについてはですね、党内からも与党寄りという批判も出ているという話ですね。

(津川 祥吾 アンカー)
青山さん、維新が修正予算に賛成したことで、衆議院を通過して、あとは参議院だけですから、多分、通過成立するだろうということになりましたが、維新がこの修正予算案に賛成する…実は、かなり揉めたみたいですね。

(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
そうですね。まず今回、高校無償化を予算に盛り込んだとありますけれど、実は来年度予算に盛り込まれたのは、いわゆる公立高校の所得制限を撤廃する1100億円だけなんですね。それで、115兆2000億の本予算全体に賛成するというのは、政府がやっていること全てを賛成するというのと意味としては同じですので、維新の中にもですね、そこまで野党の立場で賛成していいのかっていう声はものすごくあったんですね。さらに、この年収の壁の問題もですね、160万まで上がると言いますけども、上がるのは年収200万円以下の人だけなんですね。非常に減税額は小さいということで、しかも維新は全くこの協議に携わってないんですね。自民・公明・国民で協議して、国民民主党が蹴っ飛ばした案を、なぜ、何も聞いてない我々が賛成しなきゃいけないんだ。ただ、これ賛成しないと、予算と税法っていうのは一体ですから、これ予算が通らなくなっちゃうていう矛盾が生じて、結局、賛成することになった。ただ、党内には反対意見があって、多数決で3日も通さなきゃいけなかった。この禍根はですね、維新の中には残り続けると思います。

(津川 祥吾 アンカー)
この維新の前原共同代表は、我々はあくまでも野党であるということを強調してますが、青山さん、これ、どちらだと思いますか与党ですか、野党ですか。

(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
これはですね、いわゆる外形的に言えば与党的なんですね。つまり、さっきも言ったように全体に賛成するわけですから。ただ、維新からすれば、その高校無償化というのを盛り込んでもらう。さらに言えば、将来的にね社会保険料を下げるというような合意もしてますから、このためにやったということなんですけど、非常に分かりにくい。ただ、前原さんは、この後、内閣不信任案などが出てくれば、それに賛成する可能性もあるよということで、我々は与党じゃないんだということ言ってますけれども、果たして国民の目に、これがどう映るのか、これが参議院選挙に向けた維新の最大の焦点だと思います。

(津川 祥吾 アンカー)
今後の国会の中で、維新がどういう行動をしてくるかというのが注目だと思うんですが一方で、自民・公明との協議の中で合意に至らなかった国民民主党の方なんですが、103万の壁の引き上げは合意に至りませんでしたが、一方で、ガソリン税の暫定税率の廃止、これも、一応同意をしています。合意をしていますが、これがなかなか進まないというところで、今回その法案を出してきたということですが。

(伊藤 薫平 キャスター)
国民民主党は、政策の柱としてこのガソリンの暫定税率の廃止というのを訴えてきたわけですが、そもそも、去年の12月に国民民主党と与党との間で暫定税率の廃止というのは合意をしているというのが前提です。そして、3日、立憲民主党と2025年度から廃止するというこの法案を共同で提出をしました。そうした流れの中で、今度また維新はどうなのかということなんですが、ガソリンの暫定税率廃止については、維新も賛成の立場は示しています。ただ2025年度、次の4月からとする立憲民主党と国民民主党の案は否定的でして、維新独自で2026年度から廃止するという法案を提出したということです。

(津川 祥吾 アンカー)
ガソリンそのものが今高いので、ちょっとでも下げてくれるとありがたいんですが、維新の吉村さんがですね、これ野党がいくら衆議院で、仮にこの法案を通したとしても、参議院で否決されてしまうと、これ通らないのですが、これ成立の見通しはないと言っていいんでしょうか。

(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
そうですね、吉村さんが言ってたように、自民・公明が協力しないと参議院では通りませんから、今出すということは立憲と国民の姿勢をアピールするというのに過ぎないんですね。あえて言えば、やはり維新に対するちょっと嫌がらせ的なものでもあるんですね。維新はもちろんガソリン税の暫定税率はなくしたいんだけれども、ここに維新が賛成すると、来年の予算に1.5兆円の穴が空いちゃう…4月からの予算に。これはやはり予算全体に賛成してる維新にとってみれば絶対賛成できないんですね。だから、玉木さんからすれば、なんで協力してくれないんだっていうことになるけれども、予算案全体に賛成を決めた維新は絶対に賛成できないものを出してきてるわけなんですね。なので、今回は立憲と国民のアピールということなんですが、結局、自民・公明も時期は示さないけども、廃止ということで一旦合意はしてますので、これは2025年末の税制調査会などで、廃止に向けた協議は進んでいくと思います。ただこれも、例えば25.1円一気に下がるのかどうか、来年から本当に下がるのかとか、まだちょっと不透明なところはあるという感じですね。

(津川 祥吾 アンカー)
ガソリンは、今、非常に高いので、困っている方多いと思います。様々なものの物価が上がっていてですね、生活が苦しいという方も多くて、今回の予算の審議の中で減税されるんじゃないかなっていうことを期待した方も多かったと思うんです。結論的にはどうなりましたか。

(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
結論は結局、国民民主党があの蹴っ飛ばしたいわゆる所得税の減税、1000万円程度の年収になる人は2万円ぐらいの減税にはなるんですが、大規模な所得税減税、いわゆる手取りを増やすということにはならなかった。あと高校教育の無償化は、実際に高校生がいない家庭には、ある意味関係のない法案ですので、そういう意味では、減税を期待したい人にとっては期待外れと言わざる得ない。これはですね、本当に財政を守ったんだと、赤字国債を出しているんだから、仕方がないんだと思うのか、やはり税金を取られ過ぎていると思うのか、この辺りが参議院選挙の大きな争点になると思います。

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