2025.03.05

【被害急増】特殊詐欺へと誘導する「自動音声」の電話が相次ぐ県内…国際問題化している犯罪組織との関連は?専門家に取材(静岡)

ニュース 2025年に入り、静岡県内では特殊詐欺へと誘導する「自動音声」の電話が相次いでかかってきています。被害が急増する詐欺電話と、国際問題になっている犯罪組織との関連は?専門家に取材しました。

2025年に入り、静岡県内では特殊詐欺へと誘導する「自動音声」の電話が相次いでかかってきています。被害が急増する詐欺電話と、国際問題になっている犯罪組織との関連は?専門家に取材しました。

2025年に入り、県内で急増しているのが特殊詐欺へと誘導する不審な電話。

(不審な電話 音声)
「私は○○警察署、生活安全課のタナカと申します」「犯行グループの事務所を家宅捜索した際に●●さんの個人情報、お名前や電話番号、住所などのリストといわれるものを押収しておりまして」

これは、県警が公開した警察官をかたる特殊詐欺電話の音声。電話をきっかけに現金を振り込ませるなどの手口です。

県内にかかってきた詐欺電話は、県警が確認しただけで、2月末までに1986件。実際は相当な数の詐欺電話がかかってきているとみられます。

2024年の特殊詐欺の被害は、県内で383件。被害額は16億円余りと、前の年より倍増していて、統計を取り始めてから過去最悪となりました。2024年の全国の被害額は約721億円に上っています。

なぜ、だまされる人が絶えないのか…。

県警によると、被害者は、高齢者だけではなく幅広い年齢層にも広がっているといいます。

(静岡県警 生活安全企画課 増田 修 管理官兼次席)
「最近はスマートフォンの方にもですね詐欺電話がかかってくるケースは非常に多く」「いわゆる40代50代といった現役世代の方も被害に遭うケースが多くなっております」「詐欺電話の中でも自動音声によるアポ電詐欺電話これが多くなっているというのが特徴です」

2025年に入ってから、特に目立つという手口が、自動音声による詐欺電話です。

(自動音声による詐欺電話 音声)
「NTTファイナンスより重要なお知らせです。現在ご利用中の電話回線にて、未納料金が発生しているため法的処置へ移行いたします。オペレーターへおつなぎする場合は1を押してください」

この自動音声を信じてしまうと、いわゆる「掛け子」に電話が転送され、個人情報を聞き出されたり、言葉巧みにお金をだまし取られてしまいます。2025年の2月末までに被害が確認された64件のうち、約3割が自動音声による詐欺電話だったということです。では、いったいどう見破ればいいのでしょうか。

(静岡県警 生活安全企画課 増田 修 管理官兼次席)
「自動音声による詐欺電話はですね、国際電話が非常に多く使われているのが特徴です」「国際電話は番号の頭にプラスという表示がされるケースが多いので、プラスという表示があれば国際電話の可能性が高いので、これは詐欺電話を疑っていただきたいと思います」

さらに、警察など捜査機関をかたる詐欺電話も増加していて、ビデオ通話で、偽の「逮捕状」や「名刺」などを見せ、相手を信じこませるなど、手口も巧妙化しています。

こうした詐欺電話は、日本だけでなく海外の犯罪組織も関わっています。今、国際問題になっているミャンマーの国境地帯にある中国系犯罪犯組織の拠点「KKパーク」も、特殊詐欺の拠点の一つと見られています。ミャンマーの少数民族武装勢力である「国境警備隊」などが、監禁されている外国人の解放を進めています。ここで詐欺などの犯罪に加担させられていたとみられる外国人は、日本人を含めて1万人以上。犯罪ジャーナリストの石原行雄氏によると、日本への詐欺電話にも関わっているといいます。

(犯罪ジャーナリスト 石原 行雄 氏)
「現地ではコールセンターギャングなんていう言い方を世界的にはするんですけれど、日本というところの特殊詐欺ですね、等々の犯罪を世界へ向けて行っていることが発覚したということで、しかもですね、その実行役をですね、中国はもちろんなんですけれど、世界中からら致をして監禁をした人々に強制的にやらせていたというところが驚きの部分というところですね」

日本への詐欺電話の拠点は、「KKパーク」だけなく、ミャンマー国内に複数存在するとみています。

(犯罪ジャーナリスト 石原 行雄 氏)
「その中で、やはりその日本人をターゲットにした作業を働くためには、やはり、その日本語ネイティブの方が断然いい働きをするというのが犯罪者視点では言えるわけですね、その中で、日本人をだましてら致をする、あるいはその高額報酬で連れて行くというようなことが徐々に始まった」「実は、そのミャンマーの人権団体等によればですね、こうした場所がミャンマー国内に少なくとも6か所、多ければですね20カ所ぐらいはあるんじゃないかという報告なども上がってきているわけですね」

ら致された人もいれば、自ら望んで詐欺行為に手を染めている人もいる巨大な犯罪組織。徐々に摘発は進んでいますが、組織の上層部を検挙できるかが課題の1つと話します。

(犯罪ジャーナリスト 石原 行雄 氏)
「一つ本当に気になるのがですね、黒幕ですとか、そういう部分に当たる人物の、例えば逮捕拘束という情報が一切出てきていないということですね」「例えば、日本人のら致監禁されているといわれている人なども、具体的に確認されて、あるいは帰国した人というのは、もう数人レベルですよね」「上層部の逃走にですね、連れていかれて、一緒に、そちらでまた犯罪再開するための人材としてら致されている恐れなどもあるわけですね、そうした点などは、今後、どのような捜査が進むかという部分は注視していきたいと思っています」

海外の犯罪組織も加担する特殊詐欺。被害を防ぐためには、「まずは疑う」という意識が必要とされています。

(スタジオ解説)
(高山 基彦 キャスター)
手口が巧妙化している特殊詐欺ですが、全国で2024年の被害額は約721億円
、このうち静岡県内は16億円余りと、前の年より倍増していて、多額のお金が犯罪組織に渡っていることになります。

県内では、2025年に入ってから2月末までに、1986件の詐欺電話が警察で確認されていますが、県警は、これは「氷山の一角」と話していて、実際には大量の詐欺電話がかかってきています。

VTRにありましたが、今、増えているのが「自動音声」による詐欺電話が相次いで確認されいて、警察によると主に「NTTファイナンス」や公的機関を装っているということです。また、「電力会社」や「電気料金の見直し」をかたり、個人情報を聞き出すような自動音声の電話もかかってきています。

(高山 基彦 キャスター)
実際に3人の中に、あやしい「自動音声」がかかってきたという経験がある人はいませんか?

(津川 祥吾 アンカー)
私の会社には、「NTTファイナンス」というところから自動音声の電話がかかってきました。会社だったので、会社が始まる前にかかってきたらしくて、留守電に入っていたのですね。さすがにあやしいということで、対応しませんでしたし、番号を確認して、これはたぶん詐欺だろうと…ということだったのですけれど、これまでは、留守電にしておけば、詐欺電話はそこで切ってしまうだろうといわれていましたけれども、自動電話だと録音されてしまうので、さらに対応が必要になってくるのかなと思いました。

(高山 基彦 キャスター)
こういった、電力会社の電力料金見直しの自動音声の場合は、個人情報を聞き出そうというねらいがあるそうなんです。気を付けるポイントですが、県警の担当者によりますと、自動音声による詐欺電話は、国際電話でかかってくるケースが多いということなんです。電話番号の先頭に「+1」と表示されることが多く、このような国際電話は特に注意してほしいと呼びかけています。そもそも、「知らない電話に出ない」というのが、特殊詐欺から身を守る一番の対策で、もし、不審な電話に出てしまったと思ったら、落ち着いて、最寄りの警察署に連絡してほしいと呼びかけています。

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