1月29日…。
(片平 真由 カメラマン)
「夕日に照らされたドクターイエローが、静岡市内を駆け抜けていきます」「窓にはありがとうT4の文字も見えます」
滅多に遭遇できないことから「見ると幸せになる」といわれる、新幹線の検査専用車両「ドクターイエロー」。JR東海が所有する「T4編成」が、1月、最後の検査走行を終えました。窓には「ありがとうT4」と装飾され、博多を出発して約1100キロ。沿線からファンからの熱い別れを告げられながらのラストラン。多くのファンが、その雄姿を見ようと駆け付ける中、終点の東京駅へ。東海道新幹線の安全輸送を支えたドクターイエローT4編成が、24年間の歴史に幕を下ろしました。
(ファン)
「お疲れ様、ありがとう」
しかし、引退したはずのドクターイエローが、20日、再び動き出したのです。そして、なんと行先は静岡!?なぜ、静岡に??ドクターイエローT4編成…本当のラストランを追いました。
午前11時○○分引退したはずのドクターイエローの姿が東京駅に。1日43万人が利用している東海道新幹線。そんな、白と青の営業車が東京駅ホーム並ぶ中、現れた黄色の車体。やはり目立ちます。
東京駅を出発し西へ進んでいくドクターイエロー。車内には運転手のみ。検査は行われていません。20日は、いわば廃車回送、最後の自走走行なのです。静岡県内に入ると、寒気の影響もあり冷え込みが厳しい中、富士山も真っ白に雪化粧。
そんな絶好の撮影日和となった20日。公開されていない運行ダイヤの噂を聞きつけたファンの姿がありました。
(ファン)
「知り合いから聞きました」「ここで撮る時は、この場所と決めているんですよ、いつも、こだわりのポジションですね」
(ファン)
「ドクターイエローの情報は、LINEのオープンチャットがあるんですが、そこで知りました」「ドクターイエローが東京から来るので、この富士山と一緒に撮ろうと思ってます」
冷たい風が吹く中その時がやってきました…。午後0時20分、富士川橋を渡ったドクターイエロー。本当に最後の富士山との共演です。最後の雄姿を見届けたファンは…。
(ファン)
「日本の撮り鉄として、ここの写真は人生で一枚は収めておきたいなと思って」「成果の方はもう完璧ですね。もう良かったです」
(ファン)
「きょうは。きれいに雲に隠れず撮れてよかったです」「小さな頃から見ていたので本当に悲しいです」
富士山との共演の後、ドクターイエローはどんどん西へと進んでいき…。
午後1時36分に静岡駅を通過すると浜松市に姿を現しました。すると…ドクターイエローが、線路上で、突如、停車。そして…ゆっくりと浜松駅方面へ動き出しました。
(カメラマン)
「ドクターイエローが本線を離れ、引き込み線の方に入っていきます」
ドクターイエローの進む先にはJR東海浜松工場。浜松工場は東海道新幹線の車体点検が行われる場所で、廃車となった列車も、全てが最後はこの工場に来るのです。ここには新幹線唯一の踏切が…。そこにいたのは、ものすごい数の鉄道ファンの姿が、その数約200人。
(警察官)
「車道から出てください」「車道から出なさい」
そして午後1時36分。
(佐野 巧 記者)
「ドクターイエローT4編成が、今、浜松工場へと入っていきます」「多くのファンに見送られ、浜松地で最終走行を終えようとしています」「これが本当のラストランです」
浜松工場に入ったあと、ドクターイエローT4編成の最後の姿を写真に収めた鉄道ファンは…。
(ファン)
「しんかんしぇん」「バイバイ」
(ファン・東京から)
「朝2時に(東京を)出た」「今までありがとうという気持ちを込めて、撮らせていただきました」
(ファン)
「ずっと新幹線の安全のために計測してくれて任務を終わって『ありがとう』という気持ちで見送った」「さみしいけど、また展示されるので、みんなで会いに行きたいね」
本当のラストランを終えたドクターイエローT4編成。今後は、先頭車両が、6月ごろから愛知県の「リニア・鉄道館」に展示される予定です。
2025.02.20