静岡駅北口の葵タワー3階にある静岡市美術館。ここで、現在、開催している美術展が「北欧の神秘ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」。エドヴァルド・ムンクやテオドール・キッテルセンら北欧の画家47人の作品約70点が展示されています。
(来館者)
「北欧の美術って、あまり日本でやらない」
(来館者)
「独特な北欧の世界観、発想がすごいなと思った」
(客)
「自然の風景が多い…行ってみたいなと思った」
「エブリィライフ」は、日本ではなかなか見られない北欧の画家が描く神秘的な絵画の世界にスポットを当てます。
(佐藤 優里 アナウンサー)
「今回の美術展なんですが、3つのテーマに沿って作品が展示されているんです」
テーマは「自然の力」「魔力が宿る森」そして「都市」の3つ。今から約100年前、19世紀後半から20世紀前半にかけて描かれた作品が集められています。今回は、静岡市美術館の学芸員、伊藤鮎さんに案内していただきました。
(佐藤 優里 アナウンサー)
「テーマが3つということだがこの時代の絵画の特徴は?」
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「当時の画家たちは、ヨーロッパ、パリやドイツに絵画を学びに行って、自国に戻ったときに何を描こうという時に、北欧の自然や神話に着目した日本でいうと、富士山や桜を描いてみようと思うのと同じ感覚だと思う」
まずは、最初のテーマ「自然の力」を感じる北欧の世界へ…。
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「こちらはムンクのフィヨルドの冬という作品…。フィヨルドはノルウェーで特徴的な氷河の浸食によってできた湾のことだけど、その風景を描いた作品です。雪も、白だけでなくて紫や水色などいろいろな色で描かれていて、手前に岩のようなもの、それらがリズムよく描かれています」
(佐藤 優里 アナウンサー)
「ダイナミックな感じですね」
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「北欧の画家たちは自分たちの身近な風景や風土を描いていた。こちらはニコライ・アストルプの『ユルステルの春の夜』という作品」
(佐藤 優里 アナウンサー)
「これは夜ですか?」
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「北欧は白夜があって、夏の日がとても長いので、春から夏にかけての日が長くなっていく喜びが、ここでも表現されている。これは画家の自分の庭で、女性は画家の妻になるが、すごく身近な風景だと思う」
続いて、2つ目のテーマは「魔力の宿る森」。
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「こちらがキッテルセンの3枚の作品になります。彼は、ノルウェーに古くから伝わる民話をもとに創作の話を描いていて、そうした話や神話は文学や口で伝わってきたが、それを、画家たちが、いかに目に見えるかたちで表現したか、というところを楽しんでくれればと思う」
これらの作品は、アスケラッドという青年が、森の妖精トロルに捕らわれた姫を助け出すという民話をもとに描いたもの。キッテルセンは、この民話をもとに12点の作品を描いていますが、今回は、そのうち3つの作品を展示しています。
(佐藤 優里 アナウンサー)
「1つめが、ものすごくインパクトありますけど…」
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「この場面は、森の中でオオカミに出くわした瞬間が描かれています。続いて、アスケラッドが森の中で黄金の鳥を見つけた場面」
(佐藤 優里 アナウンサー)
「光っていますね、鳥が」
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「最後が、トロルに捕らわれた姫を描いている」
(佐藤 優里 アナウンサー)
「捕らわれた姫が、妖精と仲良くしている?」
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「シラミを取ってあげている瞬間だけど、可愛らしい風景」
キッテルセンのほかにも多くの画家が、地元に伝わる神話やおとぎ話をモチーフに、独創的な作品を残しているそうです。
そして、最後のテーマが「都市・現実世界を描く」。
(佐藤 優里 アナウンサー)
「このテーマの背景は?」
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「19世紀後半になると、産業革命が起こって、実際の都市の景観というのが画家たちが描くテーマになる。発展していく都市と、その一方で、伝統的な暮らし、生活や伝統文化というものも画家たちの心をとらえた」「こちらに2枚の作品があるが、何かお気づきのことある?」
(佐藤 優里 アナウンサー)
「同じ画角で同じものを描いている?」
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「こちら、エウシェン王子というスウェーデンの人だが、自分の邸宅から見た風景が、同じ場所から描かれている」
(佐藤 優里 アナウンサー)
「ただ、時間帯が違う」
(静岡市美術館 学芸員 伊藤 鮎さん)
「異なる時間を描くことで、その時間の移り変わりも描いています。産業革命以降の景色を描きつつも、風とか光とか煙とか、動いていくものをいかに絵画の中に留めるのかポイントだったと思う」
北欧の世界観を堪能できる貴重な機会、「北欧の神秘ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」は、静岡市美術館で3月26日まで開催されています。
そして、入館された人にうれしい特典も。開催期間中に入場チケットを提示することで、「葵タワー」内の対象店舗や近隣施設で、さまざまなお得なサービスが受けられます。絵画鑑賞と合わせて利用してみてはいかがですか?
2025.02.20