
(西尾 拓哉 記者)
「小学生が乗っていた自転車でしょうか、現場には複数台の自転車が残されています。くつや破片も散乱しています」
24日夕方、浜松市中央区で、軽トラックが小学生の自転車の列に突っ込んだ事故。近くに住む小学2年生の女子児童が亡くなり、小学4年生の姉が意識不明の重体。ほかに友人の小学4年生2人が軽いけがをしました。
事故から一夜明けた現場には、花を手向け手を合わせる人が絶えません。亡くなった女児の同級生の姿も…。
(献花に訪れた人)
「あの子が好きな色が黄色だと思 ったから(黄色い花にした)」「明るい子だった」「悲しい」「ゆっくり眠ってほしい」
春休みの小学生を襲った痛ましい事故。当時の状況がわかってきました。
24日、午後4時37分、消防に通行人から通報が…。
(通報内容)
『車の前輪に小学生くらいの女の子が挟まっている』『複数の小学生がけがをしている』
現場は、浜松市中央区舘山寺町の片側1車線の市道で、近くには浜名湖や「浜松市動物園」があり、道路は動物園入口の信号から約100メートルのカーブが続くゆるやかなくだり坂です。
警察によりますと、小学生の女の子4人は動物園に行くなどして遊んだ後、重体の姉と亡くなった妹が、友人を送る途中だったといいます。道路の左側の脇を自転車で走行し、北に向かって坂道を下っていたところ、後ろから軽トラックが突っ込みました。この道をよく通るドライバーは…。
(現場道路を利用するドライバー)
「数百メートルかもしれないけど、カーブがいくつもあるので、ぼくたちも気を付けて運転して いる」「反対車線に飛び出てくる車もいるので、そういう意味で危ないかなと思うし、動物園などもあって小さい子どもも多いので」「スピード出すべきところではない」
事故の起きた時間に近い日中に現場を走ってみると…。
(西尾 拓哉 記者)
「現場付近は下り坂が続くためスピードが出やすいことに加え、道路左側の路側帯は狭く慎重に運転する必要があると感じます」
警察によりますと、4人は1列に近いかたちで坂を下っていて、重体となっている姉が最後尾。その前に亡くなった妹がいたということです。事故直後、妹は軽トラックの下敷きとなって見つかったといいます。
25日、父親が取材に応じ、「許せない気持ちです。殺されたようなものです」「妹は人懐っこい性格だった」「姉は今、集中治療室で一生懸命頑張っている」とコメントしました。
警察は、軽トラックを運転していた浜松市中央区協和町で農業を営む78歳の男を過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕。24日、事故現場で残された4台の自転車を、捜査員らが入念に調べていました。レッカーされていく、“高齢運転者のマーク”がついた軽トラック。衝突した時のものでしょうか。前方の一部が破損していました。
(西尾 拓哉 記者)
「現場は下り坂で、あちらの緩やかなカーブで軽トラックが自転車をはねたとみられますが、道路脇のブロック塀には、事故の爪痕が色濃く残っています」
一夜明け、現場の壁に残されていたのは、軽トラックがつけた約20メートルにわたる長い跡。捜査関係者によりますと、現場にブレーキ痕はなく、軽トラックは自転車に突っ込んだ後、壁にぶつかって停止したとみられています。
逮捕された男は、警察の調べに対し、「運転中にけがをさせたことは間違いない」と容疑を認めている一方で、「記憶がなくなぜぶつかったかわからない」と話しているということです。容疑者の男を知る人は…。
(容疑者を知る人)
「彼は並外れた運動神経の持ち主。あんな事故起こすなんて信じられない。奥さんが亡くなって気落ちして急に年老いた感じ。ずいぶん腰が曲がったのは事実」
(提坂 貴文 カメラマン)
「午前10時半過ぎです。捜査員の車が入っていきました」
警察は、容疑者の男の自宅を、男立ち合いのもと家宅捜索しました。警察は、今後、過失運転致死傷に容疑を切り替えて捜査を進める方針です。