この春、卒業を迎えた静岡市内の中学3年生が、令和時代ならではのタイムカプセルづくりに挑みました。ある意外なものにメッセージや動画まで詰め込むのですが…。その作業に密着しました。
2月、静岡市内の中学校で3年生が撮影していたのは、未来の自分たちに向けた卒業メッセージ。この動画は、生徒たちが二十歳になったタイミングで見返すことができるように、ある”モノ”の中に閉まっておくのですが…。それはなんと、缶ジュースなどに使われるスチール缶の中。一体どのようにして動画を缶に詰めるのでしょうか!?
これは、静岡市清水区にある、缶の製造を行う「大和製罐」が、密封された缶の保存性の良さを生かし“卒業記念缶”という“令和時代のタイムカプセル”として、思い出のひとつにしてもらおうと中学校に呼びかけて実現しました。
(大和製罐 清水工場 梶田 修司 工場長)
「地域の交流を深めるために、何か当社の缶で」「貢献ができないかと」「会社の中でいろいろ考えていたところ、こういった卒業記念缶という形で、貢献できればとスタートして」
卒業まで残りわずかとなった3月上旬。「静岡市立東豊田中学校」の教室には、小さな紙と真剣に向き合う3年生の姿がありました。生徒たちが書いていたのは…。
(生徒)
「5年後の自分に、『今思ってる夢について進めていますか?』って」
(生徒)
「自分が教師になりたいって夢があるので、それを『諦めずに頑張ってね』というのを書きたいです」
二十歳になった自分に向けてのメッセージ。中には、小さい紙では書き切れないと大きな紙に、たくさんのメッセージを書く生徒も。
(生徒)
「今のところ39ですね。39項目の質問やらメッセージやらです」「お絵描きが好きなので『絵はまだ描いてるか?』とかいろいろですね」「まあ、俺らしいな…ってことを思ってくれればいいなっていう気持ちで書いてます」
しかし、このメッセージカード、ただのカードではありません。実は“ある仕掛け”が施されていたのです。それは、メッセージカードの裏に印刷された2次元コード。これを読み取ると、みんなで撮影していた二十歳の自分たちへ向けたメッセージ動画にアクセスできるというイマドキな仕組みになっているのです。
その動画の作成は、どのような内容にするか生徒たちが話し合うところからスタートしました。“卒業記念缶”という名のタイムカプセルに、二十歳までしまっておく動画を、どのような風に撮影するか意見を出し合いました。
話し合いの結果、未来のみんなに対するメッセージを、それぞれ一言ずつ話すことになり、グループごとに個性豊かなメッセージ撮影が行われました。
そして、缶の中に、この動画にアクセスできる二次元コード付きのメッセージカードやテストなど、中学校生活の思い出が詰まった“モノ”を入れ込むと、最後は、卒業記念缶を完成させる、ある儀式があります。それが、缶の底ぶたを取り付け封印する“巻き締め”作業。今回、普段は工場で使う専用の機械で、生徒自らタイムカプセルにメッセージと思い出を密封させます。二十歳になった自分を想像しながら機械の中に卒業記念缶を置くと…。
15秒ほどで簡単に缶が密閉され、あっという間に完成しました。
(生徒)
「すごい、これ早く開けたい、まじで早く開けたいんだけど」
缶の中に、友達同士で書き合った手紙を入れたという生徒たちは…。
(生徒)
「もう、めっちゃ気になります」「何が書いてあるかわかんないから」「メッセージ見てないんで、みんなが書いてくれた」
そして、卒業式を前に行われた贈呈式で、きれいにラッピングされた“卒業記念缶”が生徒たちに手渡されると…。
(生徒)
「最初とかは、タイムカプセルをやるって聞いて、びっくりして、動画とかを撮るって聞いたときに、どんなことをやるんかな…って思ってたんですけど」「すごく面白かったです」「5年後に開けるっていう意味で、楽しみな気持ちが大きいです」
(生徒)
「この中に入っている2次元コードを読み取ると、映画みたいなものが出るんですけど、そのために、みんなが話し合ったり、意見を出し合ったりするのがすごくおもしろかったです」「二十歳になったら、成人の会があると思うので、そこで全員で開けたいなと思ってます」
(大和製罐 清水工場 梶田 修司 工場長)
「我々の製品で、思い出につながるようなことになれば、非常にうれしく思っております」
卒業生にとって、かけがえのない思い出になった令和版タイムカプセル「卒業記念缶」。5年後、この缶を開ける時に、生徒たちは、どんな大人になっているのでしょう…。
2025.03.25