保護者はもちろん、保育士の負担軽減にもつながるという、おむつの定額利用サービスが静岡県内の保育施設で広がっています。あまり聞きなれない「おむつのサブスク」とはどのようなサービスなのでしょうか?
清水町にある清水町立清水保育所。こちらの保育所では、現在、0歳児から2歳児までの27人のうち、実に22人が、「おむつのサブスク」を利用しています。
「サブスク」とは、サブスクリプションの略で、「定期購読」や「定額制」などの意味。利用者は、月単位や年単位で料金を支払うことで、サービスを一定期間使い放題で利用できます。一般的に、音楽や動画サービスなどにも導入されています。
「おむつのサブスク」は、民間企業が行っているサービスで、定額料金を支払っている保護者が専用サイトから「おむつ」のサイズを注文すると、利用している保育施設にメーカーから「おもつ」と「おしりふき」が発送されるサービスです。そのメリットとは…。
(利用する保護者)
「最初の頃は毎日(おむつに)名前を書いて持ってこなくてはいけなかったので、それがちょっと大変で」「仕事もしているので、毎日子どもの名前を書くというのは、1枚2枚ではないので、それが無くなっただけでも楽になったかなと」
(利用する保護者)
「おむつが(あと何枚)入っているかを確認しないといけないし、忘れたらどうしようという緊張はありました」
(利用する保護者)
「(おむつが)足りない時とかは、買い足しとかしないといけないので、その手間が、圧倒的に時間に余裕ができた」
また、このサービスは保護者の他に、保育士の負担も軽減されると話します。
(保育士)
「個人の入れ物から、個人の名前の『おむつ』を一人一人出さなければいけなかったのが手間だと感じていたが、サブスクになって個人のサイズがあるので、すぐ棚から取り出して、その子のサイズを渡すことができるのが一番のメリットです」
この保育所によりますと、個人差はあるものの、一人1日5枚ほど使用するということで、万が一ストックの「おむつ」が無くなった場合には、保育所が貸し出す形で「おむつ」を使用していました。
(保育士)
「『おむつのサブスク』が始まる前は、登所した時に、この箱に『おむつ』を入れてもらっていた」「サブスクだと、名前を気にせずに同じものをどんどん使えるので、私たちの手間は本当に少なくなって助かっています」
保育士や保護者の負担が軽減するこのサービス。清水町が利用しているサービスは、大阪で子育て支援をする会社が2019年から国内で初めてスタートしました。使用する「おむつ」の種類などで料金は異なりますが、清水町が利用するサービスは月額約2500円。
ところで、定額で“使いたい放題”という点で、メーカー側にメリットはあるのでしょうか?会社の担当者は、このサービスをメーカーに提案した際、メーカー側のある思惑と一致したことがサービスが始められた要因だと話します。
(BAAY JOB 脇 実弘 取締役 )
「ベビー用の『おむつ』は、子どもの数が減っていくことがはっきりわかっている中で、(今後)市場としては小さくなる。(メーカーは)その中で一定量は家で使うのではなくて、保育園で使用することはわかっていましたから」「我々が解決したい社会課題と、おむつメーカーの思惑が一致したと思います」
この会社によりますと、全国の5000か所以上の保育施設で、そのサービスが提供されていて、県内では80の園で利用されています。2024年から「おむつのサブスク」を始めた清水町の担当者は…。
(清水町役場役場 櫻井 努 主事)
「昨年度から、町では保護者の皆様や保育士の負担軽減のため、『手ぶら登園』を研究してきました」「その一環として、昨年の10月から使用済みおむつの自園処理を始めました。今回、更なる『手ぶら登園』を進めるため、『おむつのサブスク』を導入することを決めました」
清水町は、2023年10月から、子育て支援の一環として、町内に2か所ある保育所で使用済おむつの回収サービスを始めています。その後、6月に、2か所の保育所を利用する子どもの親に、「おむつ」の種類や料金プランのアンケートをとり、9月から2か月間無料で試験導入を始め、11月から本格的にサービスが開始されました。
(清水町役場役場 櫻井 努 主事)
「ほかの私立保育所にも積極的に周知していき、町でも新たな負担軽減の取り組みを検討したい」
2024.11.07