2025.03.11

【高額療養費】見直し“凍結”を首相が表明も二転三転で与党内から批判…県内支援団体は先行き不安に(静岡)

ニュース 先週、石破首相は高額療養費見直しの凍結を表明しましたが、二転三転する方針に与党内からも批判が上がっています。県内の支援団体からは先行きに不安を感じるといった声が聞かれました。

先週、石破首相は高額療養費見直しの凍結を表明しましたが、二転三転する方針に与党内からも批判が上がっています。県内の支援団体からは先行きに不安を感じるといった声が聞かれました。

先週3月7日・金曜日。高額療養費制度の見直しについて石破首相は…。

(石破 首相)
「高額療養費制度の見直しに関してまして、先ほど患者団体の皆様と面会し直接その切実なお声を承った」「見直し全体について実施を見合わせると決断した」

高額療養費制度の負担上限額の引き上げを見送ることを発表。“制度見直し”を巡っては、これが3度目の方針転換という異例の事態となりました。当初は、2025年8月から段階的に患者の負担額を引き上げていく方針でしたが…。

1度目の方針転換は2月14日。

(石破 首相)
「“提案の修正”を含め対応いたしてまいります」

長期的に治療を続ける患者の負担額は引き上げず、据え置くことに変更。さらに、2月28日。

(石破 首相)
「改めて方針を検討し、決定することといたしたい」

2度目の方針転換を発表。2025年8月に引き上げを行う一方で、2026年以降の引き上げについては、再検討することに。そして今回、3度目の方針転換。2025年8月からの高額療養費制度の見直し自体が、見送られることになりました。

野党からは。

(国民民主党 玉木 代表)

「選挙が有利だから不利だからって言ってると、この国の屋台骨が折れちゃいますよ」

身内の自民党内からも…。

(自民党 小林 鷹之 元経済安保相)
「政策の決定が、意思決定が、二転三転しているように私自身は感じています」

10日、国会で、野党は、『凍結は夏に予定されている参院選のためではないか』と石破首相を追及しました。

(立憲民主党 徳永 エリ 議員)
「よもや、そんなことはないと思いますけれども(選挙後に引き上げを)『強行することはない』と明言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか」

(石破 首相)
「そのようなことはいたしません」「もっと丁寧な議論が必要であると。そして患者の方々にご納得いただけない限り、これはやってはならないという ことも、よく承知をいたしておるとこでありますし」「私どもは選挙目当てでこのようなことをやってるのではございません。(参院選後に)強行することもいたしません。以上は明言しておきます」

凍結は「選挙目当てではない」と強調しました。

先週、石破首相の決断の直前、高額療養費の引き上げ凍結を求めて面会した患者団体。

(全国がん患者団体連合会 轟 浩美 理事)
「メディアの方がいらっしゃらなくなってからは、(石破首相は)ご自身の言葉でおっしゃっていました」「そのときに、私は心を感じて信じて進んできてよかったと思いました」「高額療養費制度について検討しなくてはいけないことは わかっています。でも、だから、やみくもに反対しているんじゃない、維持するためにゆっくり丁寧に考えてほしい」

静岡県内で、女性特有のがんの患者を支援する団体の河村裕美さんです。高額療養費制度の見直しについて聞くと…。

(NPOオレンジティ 河村 裕美 理事長・女性特有のがんの患者を支援)
「私たちの会では婦人科のがんをサポートしておりますので、20代から40代くらいの方が多いんですね」「高額療養費があったとしても、非常に大変で治療をあきらめてしまうという人がいらっしゃったのを目の当たりにしてきたので、今回、また、高額療養費が上がってしまう、上限額が変わっていくということに関して、若い人たちの負担が増えていくんじゃないかと懸念しておりましたが、今回、見送りということなので、また、この内容が浮上してくるんじゃないかと懸念しているところです」

今の政治に対して言いたいことは…?

(NPOオレンジティ 河村 裕美 理事長・女性特有のがんの患者を支援)
「患者の声を、どういう風に聞いているのか。患者だけではなくて、国民全体の声をどういう風に反映しているのかということもあると思うので、その辺の議論を深めていただけたら」「患者の命を経済的に左右するようなことを政争の具にしていただくのは、非常に困るなと思っています」

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