駿河湾の宝石と呼ばれる「サクラエビ」。国内では駿河湾のみで水揚げされ毎年、春と秋の2回漁が行われています。その2024年の秋漁が、4日、始まりました。
午後4時、由比港に集まる多くの漁師たち。網を船に運び込んだり久々のサクラエビ漁に向けて準備も気合いも十分のようです。サクラエビの秋漁は10月29日が解禁日でしたが、悪天候の影響で延期が続き、6日遅れで初日を迎えました。そして4時半、たくさんの漁船が波を立てながら勢いよく出港していきました。
近年のサクラエビ漁については記録的な不漁が問題となってきました。漁業組合では漁獲量が激減した2018年から産卵場所に禁漁区を設けたり、操業する船の数や時間を制限したりするなど自主規制を行ってきました。その効果もあってか2023年の秋漁は、自主規制を開始した2018年以降で最大の水揚げ量となったことから、2024年の秋漁にも大きな期待がかかっていました。
午後9時港に漁船が戻ってきました。すると…。そこにはキラキラ輝くピンク色のサクラエビが。箱いっぱいに詰められ、次々と船から運び出されていきます。この日、由比港に水揚げされたのは約1.3トン。2023年に比べ2倍以上の水揚げ量に。
そして、5日朝、サクラエビの初競りが行われ、市場には多くの仲買人の姿が。サクラエビの状態を自らの目と手でチェックしていきます。
(仲買人)
「量が少ないので厳しいかなという感じはする。大きさはこんな感じかと思うが」
(仲買人)
「初競りだから値段はそこそこいく。大中小まじり、成長は遅れている」
量は2023年に比べて増えたものの、量も質もまだまだ伸びしろがあるといいます。
5日朝は、由比港と大井川港で計2.3トンが水揚げされ、由比市場での平均取引価格は1ケース15キロあたり2023年より1万1240円安い7万5550円に。漁協関係者は、2024年は例年以上に暑い日が続いたため水温の低下が追いつかず、まだまだサクラエビ漁には適温ではないといいます。
(由比港漁業協同組合 宮原 淳一 組合長)
「ことしの冬が寒くなるという予報。どんどん秋漁期になる」「量は大変きびしいが、サクラエビが少しずつ階段をのぼるように増えていると実感している。これからもがんばります」
そして、地元・由比の飲食店には、さっそくとれたてのサクラエビを求めてお客さんの姿が。この店では、新鮮な生サクラエビやサクラエビのかき揚げが提供されていました。
(客)
「めっちゃおいしいです」
(客)
「大変おいしいです」「昔は安かったが高級品になってしまい、天然記念物をいただいているよう」
店の人も秋漁の開始に期待を寄せます。
(桜えび茶屋 宮原 良幸 料理長)
「待ちに待った、本当に待ちました。大きい小さいバラツキあるが、全体的に色も良いサクラエビが入荷した」「由比特産のサクラエビを味わってほしい」
サクラエビの秋漁は、12月25日までの予定です。
2024.11.05