2025.03.06

【波紋】浜松新野球場 ドームなら450億円に!? ”非公開”調査結果にはプロ野球・音楽イベント「開催難しい」との記載も 県議会では「開示・共有が不十分」と厳しい指摘(静岡)

ニュース 静岡県が浜松市に建設する新野球場について、コンサルタント業者に2200万円で委託して実施した、県の需要調査の結果を巡り、6日の県議会建設委員会で、議員から県に対して、調査結果の開示や共有が不十分だったと厳しい指摘が相次ぎました。

これは、静岡県が浜松市に建設する新野球場について、コンサルタント業者に2200万円で委託して実施した、県の需要調査の結果です。

ドーム型野球場の概算事業費は県の基本計画よりも80億円増加し450億円。プロ野球の地方興行は「毎年の開催は難しい」。音楽興行開催の可能性は「極めて低い」。

2024年3月には、業者から県に渡っていたこの調査結果が、今になって波紋を広げています。

6日に開かれた静岡県議会の建設委員会。議員から県に対して、調査結果の開示や共有が不十分だったと厳しい指摘が相次いだのです。

(自民改革会議 中田 次城 県議)
「基本計画が示される前に、この官民連携調査の数字が建設概要費370億円が450億円でしょ。特に上振れしてるのであれば、何も隠す必要はない」「事実に基づいた報告をきちんとしないと」「この数字は一体なんだって話になった時に信用がなくなる」

(自民改革会議 飯田 末夫 県議)
「これから議会で大事な協議が控えている時に、情報の共有ができていなかった。これは非常に重要なことだと思っている。議会にも説明してほしかったと思っている。これは苦言ということで示す」

浜松市などからドーム型の球場建設を求める声が上がる中、今、県議会が揺れています。

静岡県が浜松市中央区の遠州灘海浜公園・篠原地区に建設を予定している新野球場。
この構想は、2024年に94歳で亡くなった自動車メーカー・スズキの鈴木修元会長ら浜松経済界の要望を受け、2014年に川勝前知事が建設の意向を示したものでした。

そして、鈴木元会長の支援を受け、浜松市長時代から「ドーム球場」の建設を要望してきたのが鈴木知事です。浜松市長時代に地元経済界と期成同盟会を立ち上げ、県に「ドーム球場」の早期建設を求めてきました。

(鈴木 康友 浜松市長・当時)
「われわれは待つしかない。できるだけ早く結論を出していただければと思います」

しかし、ドーム型は巨額コストがかかることから、球場の規模を絞ることができないまま、県が2024年7月に基本計画を策定。2万2000人規模の「ドーム型」と、2万2000人規模と1万3000人規模の「屋外型」の3つの案を示し、「ドーム型」については概算の建設費が370億円としていました。

しかし、この基本計画を公表する4か月前の2024年3月、県が委託した東京のコンサルタント業者から「需要調査の結果」が報告されていました。

調査結果では「ドーム型」の場合、建設費が80億円上振れし「450億円になる」と試算。プロ野球球団へのヒアリングから、地方興行について「毎年の開催を見込むことは難しい」、コンサートなど音楽興行についても「開催可能性は極めて低い」と記載されています。その上で、球場の構造については、「屋外型球場で対応が可能」と結論付けていました。

この需要調査について、3月4日の県議会で自民改革会議で地元・浜松市中央区選出の鈴木利幸県議は、共有が不十分だったと発言しました。

(自民改革会議・浜松市中央区選出 鈴木 利幸 県議)
「今まで、僕らも、どういう方向に行けばいいのかわからなかったけど、調査票が出た時には、やはり、あれに基づいてやらないと2200万円かけた台無しになってしまうので、調査票は、もう、しっかりと揉んでいただきたい」

鈴木県議は10年以上にわたり議論が続いている状況から「早期に決断をするべき」と指摘しました。

(自民改革会議 鈴木 利幸 県議)
「野球場の建設の話が始まってから、もう10年以上経っていて」「果たして『ドーム型』が県西部の球場でいいのかどうなのか、はっきりさせる時期が来てるのかなと思う」「他のいろいろな興行の話は抜いて、純粋に野球場、アマチュアが使う野球場ということで、話を進めてほしい」

「ドーム球場」について厳しい調査結果がまとめられていたことについて、浜松市民は…。

(浜松市民)
「自分は特に必要ないと思う」「無駄なのかなと思う」

(浜松市民)
「プロ野球だって、そんなに来るわけではないし、そういうことを考えると、ちょっと首をかしげる」「作ること自体が難しいと思う」

(浜松市民)
「色々な人も来てくれるし、地域も活性化されるので、いいかな」

新野球場を巡っては、県と浜松市が協議会を設置し、「費用負担」や「球場の規模」などを話し合っていますが、2025年1月の初会合で、「この調査結果の全文」については示されませんでした。

県の担当課に、この調査結果の扱いについて聞くと、基本計画に反映していると話します。

需要調査では、プロ野球について、「毎年の開催を見込むことは難しい」という結果でしたが、基本計画では「毎年、特定の球場での興行開催は決まっていない」と記載。音楽興行についても「開催可能性は極めて低い」という需要調査に対し、基本計画では「ニーズはほとんど見込めない」と書かれいます。

これに対し、県の担当者は「基本計画には報告書の原文通り記載してはいないが、ニュアンスは変わっていない」「建設費は算出するタイミングによって変動するものであり、暫定の金額を出しても混乱を生じさせると判断し、記載しなかった」と話しています。
 
県議会からは、「調査結果の全文」が十分に共有されていなかったと問題視する声が高まっていて、さらに波紋が広がりそうです。

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