2025.03.06

【都市型水族館】百貨店内開設と“客が入館料決める”制度で注目された「スマートアクアリウム」その後(静岡市)

ニュース 「松坂屋静岡店」の中にある水族館「スマートアクアリウム」は、平日、客が入館料を決める「ポストプライシング」制度を行っています。導入から約1年、水族館にも変化が生まれています。

「松坂屋静岡店」の中にある水族館「スマートアクアリウム」は、平日、客が入館料を決める「ポストプライシング」制度を行っています。導入から約1年、水族館にも変化が生まれています。

優雅に泳ぐ、色鮮やかな魚たち。こうした美しい魚が見られるのは、「松坂屋静岡店」7階にある「スマートアクアリウム静岡」。全国でも珍しい百貨店の中にある“都市型水族館”として2022年にオープンしました。

館内は、5つのエリアに分かれ150種類2300匹を展示しています。入館料の支払い方法は休日と平日で異なります。休日は、中学生以上が1400円、小学生は800円ですが…平日は、なんと展示を見終わった後にお客さんが自分で料金を決めて支払います。これは、「ポストプライシング」“価格の後決め”と呼ばれるもので、後払いサービスの進化系として、今、注目を集めています。

水族館は平日、入館者が少ないことや、「入館料が高い」といった声が寄せられたことから、赤字覚悟で2024年2月3月の平日に「ポストプライシング」制を試験導入。すると、入館者が前年の5倍以上に急増。その後、同年5月から平日限定で「ポストプライシング」制を正式に導入しました。

内観試験導入から1年、その成果について館長は…。

(スマートアクアリウム静岡 真野 光晃 館長)
「ポストプライシングを始める前に比べると数は伸びている」

入館料という最初のハードルを下げたことで、課題だった平日の来館者数が狙い通り増えました。入館料も、導入当初は500円から1000円が多数でしたが、今は元の入館料に近い“1000円以上”支払う人が増えているといいます。訪れていた人に、いくら払うか聞いてみると…。

(来館者)
「新し過ぎて、いくら払っていいのか、良心と、お財布と相談中」「やはり、お札は出さなきゃなのかなと思う」

(来館者)
「通常料金で払おうと」
「意外と魚だけじゃなくて、は虫類とか標本とかもあって、分かりやすく漫画とかもあったので、おもしろいなと思った」

やはり“1000円以上”支払う人が多いようです。その理由について館長は…。

(スマートアクアリウム静岡 真野 光晃 館長)
「はじめは『ただで入れるよ』的な感じで来ていただいたと思うが、実際に施設を見ていただいた中で、このくらいの金額をお支払いしたほうがいいのかなというような価値がお客さんの中で見出してもらえたと思っている」

さらに…大人は1000円以上、幼児は300円以上入館料を支払うと、クリアファイルやステッカーなどのオリジナルグッズをプレゼント。こうした工夫もあって、“1000円以上”が浸透しつつあるようです。

水族館を運営していく上で、えさ代や光熱費などの経費は入館料でまかなわれています。そのため、通常の入館料に近い料金を支払ってもらうため、客の満足度を上げる取り組みは欠かせません。

水族館は、えさやり体験や館内ツアーなど、来館者が楽しめるイベントを行うなど、さまざまな工夫を凝らしています。客が、満足度に応じて入館料を決める「ポストプライシング」。今後の見通しは…。

(スマートアクアリウム静岡 真野 光晃 館長)
「今のところ決して悪くはないので、平日は継続的に行う予定」「お客さんが来ていただける…来ていただかないことには始まらないので、気軽に入って施設を見ていただければ」

「ポストプライシング」というユニークな取り組みは、水族館をさらに進化させていきそうです。

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