2024.11.28

【再生活用】茶畑の耕作放棄地で新たな農産物づくりの取り組み…“特産品”育成へ期待も(静岡・牧之原市)

ニュース 静岡・牧之原市では、茶畑の作付け面積が5年間で2~3割ほども減少し、”耕作放棄地”が増加しています。しかし、今、この耕作放棄地を活用した新たな農産物が誕生しています。新たな特産品になるかもしれない新ブランドの魅力に迫ります。

静岡県内有数のお茶の生産地・牧之原市が、今、危機に直面しています。

(農家)
「もうここ数年でかなり厳しくて、茶価の低迷でお茶の生産から退く方が増えていまして、後継者も減っていますので」

牧之原市では、お茶の収穫ができる茶畑の作付け面積が5年間で2~3割ほども減少しています。そのため、今、牧之原では、お茶の栽培がされなくなった茶畑、つまり、”耕作放棄地”が増加しているのです。手入れされていないため荒れ放題。

しかし、今、この耕作放棄地を活用して新たな特産物を誕生させる動きが活発化しています。every.lifeは、お茶の耕作放棄地からレモンやハチミツが生まれる?牧之原市で始まった注目の取り組みに迫ります。

やってきたのは牧之原市にある農園。

(高山 基彦 キャスター)
「これは何を栽培されているんですか?」

(河原崎 宏年さん)
「レモンを栽培しています」「もともと茶園でしたけど、7年ほど前にレモンに植え替えて栽培しています」

河原崎さんは、40年前から、お茶の生産を行ってきましたが、その茶畑の一部をレモン畑に変えたのです。そのワケとは…。

(レモン農家 河原崎 宏年さん)
「10年、15年前からお茶の価格の低迷で何か複合栽培できないかなということで」

お茶だけでは経営が厳しくなったため、安定した収入を得られるように、日当たりのよい茶畑の立地を生かしたレモン栽培を始めたのです。

(レモン農家 河原崎 宏年さん)
「こんな感じで」

(高山 基彦 キャスター)
「色味はグリーンなんですね」

(レモン農家 河原崎 宏年さん)
「12月初旬ごろまではグリーン、次第に寒くなってくると色づいて黄色くなってくる」

こちらでは、完熟する前の「グリーンレモン」の状態で収穫して出荷するそうですが、その特徴はというと…。

(高山 基彦 キャスター)
「すごくいい香りこの華やかというか、フレッシュさすっごくリラックスします」

牧之原周辺では、河原崎さんのほかにもレモン栽培を始める人が増えていて、「サーフィンのまち牧之原」にちなみ、「波乗りレモン」という新ブランドを2年前に立ち上げ、爽やかな酸味が楽しめる国産レモンということで、すでに大人気だといいます。

この「波乗りレモン」を使ったスイーツも、地元のカフェとコラボして誕生しています。築100年以上の古民家を改装した「とこ十和」。ここでいただけるのが「波乗りレモン」の果汁と皮が入ったバターケーキ。バターのコクとレモンの酸味が楽しめる一品です。さらに、12月から新メニューが登場。

(とこ十和 山本 功子 店主)
「レモンバーです」「下がクッキー生地で、上がレモンのカスタード生地で焼き上げております」

(高山 基彦 キャスター)
「いただきます。レモンの酸味のインパクトがすごい。レモンの皮も刻まれているんですよね」

「波乗りレモン」の酸味と香りを十分に楽しめるよう、たっぷりの果汁と細かく刻まれた皮が使われています。レモンの爽やかさとカスタードの甘さで、何本でも食べたくなる魅惑のスイーツです。

お茶の耕作放棄地を活用した新たな特産品は他にも…。やってきのは牧之原市にある河村養蜂場。

(高山 基彦 キャスター)
「養蜂場にやってきました。お茶と養蜂場、どんなつながりがあるのでしょうか、聞いてみます」

こちらの看板商品は、6月から8月に採れる蜂蜜を、月ごとにそれぞれ瓶詰にした“Honeyboy”シリーズ。蜂蜜を通して、牧之原に咲く花々の変化を楽しめます。一般的に蜜蜂は、春から夏にかけて活発に蜜を集めますが、河村養蜂場では、冬に近づく11月にも、せっせと蜜を集める蜂の姿が。

(河村養蜂場 河村 充 代表)
「今の時期は牧之原らしいお茶の花の蜂蜜」

(高山 基彦 キャスター)
「お茶の花の蜂蜜?初めて聞きました」

(河村養蜂場 河村 充 代表)
「牧之原市は最近、耕作放棄茶園が増えて、花がたくさん咲いている状態になっていまして」

本来、茶畑はお茶の生育のため花を摘んでしまいますが、手入れされていない茶畑ではこんなにも花が咲いているのです。このお茶を活用しようと、花が咲く10月から11月にかけて蜜蜂を使い、蜜の採集を始めたのです。

(高山 基彦 キャスター)
「お茶と蜂蜜、今のでつながりました。お茶の花の蜂蜜って聞いたことがないんですけど、全国的にはどうなんですか?」

(河村養蜂場 河村 充 代表)
「非常に珍しいと思います」

この、とても貴重なお茶の花の蜂蜜。その味とは? 

(高山 基彦 キャスター)
「おいしい、濃厚な甘さとちょっと後味、渋みですか、お茶感ありますよね、これがお茶ならではの渋みですか、後味にお茶っぽさがあるというか」

手入れもされなくなった耕作放棄地のお茶の木から、まさかの新たな特産品が生まれていました。

そして、この蜂蜜にほれ込み、カクテルに使っているバーも。それが、日本茶など和素材にこだわったカクテルが人気の「クロッホモア」。

(クロッホ モア 大石 和宏 店主)
「お茶の蜂蜜は初めて出会った、まだ、いろいろ未知な部分はあるんですけど、使って面白いなと」

そして、誕生したメニューがこれ。蜂蜜とジンを合わせた爽やかなカクテルと、蜂蜜とお茶の「つゆひかり」を合わせたノンアルコールのモクテル。お茶の蜂蜜を使うことで、自然な甘みの中に爽やかな香りがふわ~っと広がる一杯になったということです。

お茶の耕作放棄地から生まれた「波乗りレモン」に、お茶の花の蜂蜜。牧之原の新たな特産品として、さらなる広がりが期待されます。

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