春は、出会いと別れの季節。卒業や転勤などで全国的に引っ越しをする人が多くなります。そんな中、今、引っ越し代も高騰。背景には様々な問題がありました。
春、“新生活が始まる季節”。なのに…就職が決まったばかりの大学生たちのお悩みは。
(富山から千葉へ引っ越し 大学生・20代)
「(業者の引っ越し費用が)高かったので、家族に富山県まで来てもらって引っ越しを手伝ってもらったり」
(東京から静岡へ引っ越し 大学生・20代)
「(両親から引っ越し代が)高いからと言われて、自分で運べるものは車に全部積んで運びました」
SNSでも…。
(SNSでのコメント・女性)
『見積もり93万と言われ、あ然とした』
(SNSでのコメント・男性)
『引っ越しも高い。家具、全部、新しく買った方が良い』
春の引っ越しシーズンに“異変”が起きています。神奈川・横浜市にある「引っ越し専門会社」。
(スター引越センター)
「お電話ありがとうございますスター引越センターでございます」
電話を終えると、すぐまた電話…。朝から晩まで、お客さんからの予約の電話が“ひっきりなし”。しかし、2024年と比べて、引っ越し料金は…。
(スター引越センター)
Q.去年の平均単価が5万2000円くらいで、ことしは6万3000円
「(1万円くらい)上がってますね」
コールセンターでは、1円でも安くおさえたいお客さんとの“攻防戦”も。
(スター引越センター)
「10万円以下でお運びするのは不可能なので、姿見を諦めるか」「『佐川急便』さんとかで、お安く見積もれると思うので」
比較サイトを見ると、単身、家族ともに引っ越し料金は毎年上がっていますが、2025年は、さらに値上がりする予想となっているのです。その理由は大きく2つ。
(スター引越センター 仁賀 諭 常務取締役)
「ダンボールはけっこう高い」「ご契約いただいたお客さんには、無料で差し上げているので」
この会社の場合、ダンボールは、2024年より2~3割上がり、燃料代が2割、人件費も1割アップするなど“物価高”の影響です。そして、もうひとつ、2025年ならではの理由が…。
(スター引越センター)
「3月は繁忙期に入ってくるので、かなり“トラック”は埋まってきている」
物流の“2024問題”。トラックドライバーの時間外労働時間に制限が設けられたことで、“人手不足”が深刻に。そのため、ドライバーの“奪い合い”が起きているというのです。
(スター引越センター 仁賀 諭 常務取締役)
Q入社お祝い金5万円と10万円と、結構すごいですよね。
「すごいですよね」「(給料は)月50万円くらいいくかもしれない」「(ドライバーの)奪い合い」
他にも、この会社では…。
(スター引越センター)
「ちょっと聞いてください。3月の繁忙期に向けて、力を貸してほしいです」
SNSや求人サイトに募集を出し、“ドライバー集め”に奔走。ドライバー獲得にかかるコストも料金値上げの一因となっています。一方、業者によっては引っ越しが断られるケースも
(スター引越センター 仁賀 諭 常務取締役)
「タワ-マンション」「エントランスが長くて上の階までエレベーターで行くので、時間が延びちゃう」「他の引っ越し屋が“敬遠しているので”どうしても費用が上がる」
引っ越し業者の苦労が浮き彫りになる中、この時期の静岡県内業者の引っ越しの現状は、どうなのでしょうか?
(県引越専門共同組合 鈴木 典男 理事)
「去年(2024年)とほぼ同等なんですけども、若干、月末が3月末が少なめなのかなという状態です。(稼働率が)130パーセント、140パーセントという状態です」
首都圏と比べると、そこまで、ひっ迫した状況ではないものの、その分、作業員にかかわる、ある問題が業者を悩ませていました。
(県引越専門共同組合 鈴木 典男 理事)
「拘束時間が決められているので、これによって遠くに行けない。引っ越しですので、基本的には、東京から東、大阪から西、これを拘束時間を考えると、もう帰ってこられないという状態。一番、引っ越し部門が2024年問題に影響が大きいのかなと思う」
ドライバーの拘束時間を是正する、いわゆる「2024年問題」によって、遠方にいく仕事に支障が出ている部分もあるそうです。
高騰する一方の引っ越し料金。少しでも安くする方法は…。
(スター引越センター 仁賀 諭 常務取締役)
「オススメなのは3月上旬。中旬より手前は安いので」
国も協力をお願いする「引っ越し時期の分散」です。見積もりで比べると…。
(スター引越センター)
「3月5日名古屋市に行く引っ越し代は6万9000円なんですが、繁忙期3月27日からの名古屋市に行く金額だと21万。大体3倍くらいになっているんですね。ちょっと、ずらすことができるのであれば…」
国土交通相は、引っ越し時期の分散は「難しい」という意見があるのは承知しているとした上で、可能な範囲での協力を呼びかけています。
2025.02.21