(俳優 磯村 勇斗さん・32歳)
「本日は楽しいキネマな一日をお過ごしください」
今週4日・月曜日に、静岡・沼津市で開催された「しずおか映画祭」。そこに登場したのが沼津市出身の俳優・磯村勇斗さん。実はこの映画祭、磯村さんが企画して開催したものなのです。
その演技力の高さから、俳優として引っ張りだこの磯村さんですが、なぜ、普段は出演をお願いされる立場の映画祭を、自ら開催したのでしょうか。
(俳優 磯村 勇斗さん・32歳)
「ハプニングが起こる確率を少なくしていくのが、僕の役目だと思うので」
そこには、俳優とは違う顔を見せる磯村さんの姿が。磯村さんの、静岡で開催した映画祭への熱い思いに迫りました。
映画祭の1か月前。大きな荷物を抱えた磯村さんが訪れたのは、地元・沼津市の海岸。
(磯村 勇斗さん)
「これが沼津の風の強さですよ。海はよく、子どものころから家族と遊びに来たり、学生時代は友達ときて石を拾ったり、石投げしたりとか。よくやっていましたよ」
この日は、映画祭の最初に流す“オープニング映像”を撮影するといいます。いつもは撮影される側の磯村さんですが、今回は“役者”ではなく、プロデューサーとして現場をまとめます。なんと、撮影のセッティングまで、磯村さん自ら行います。しかし、この日は、強風のため撮影で使う紙を思うように敷くことができません。
(磯村 勇斗さん)
「原木、流木でかいのしかない」
磯村さんが率先してセッティングを行い、なんとか撮影スタートです。
(磯村 勇斗さん)
「はーい走って」
ストーリーは、「1人の少年が海辺で書道家の姿を撮影する」というもの。
(磯村 勇斗さん)
「原案は自分が出して、オープニング映像は子供を絶対に出したいという話で」「未来に向かって歩む子どもたちが、映画に触れていく、映画が自分に寄り添って成長していった過去があるので、表現したくて」
小さな頃から毎日、テレビにくぎ付けになるほど大好きだったという映画。
(磯村 勇斗さん)
「映画を見て自分の想像力が広がっていったし、心も豊かになっていったので」
そんな磯村さんだからこそ、“映画祭”には並々ならぬ思い入れがあります。
(磯村 勇斗さん)
「映画を身近に感じてほしい。映画館が近年は徐々に少なくなってきている。映画を楽しみに見に行くっていう、そういった時間が少なくなってきたんだろうなと思って」
映画をきっかけに、みんなが集まれる場所を作りたい…そんな思いから高校まで育った地元・静岡への恩返しも込めて映画祭の開催を決めました。映画祭の前日、磯村さんの姿は映画祭の会場となる舞台の上に。
(磯村 勇斗さん)
「基本はこっち見ない、こことここのはず。ちょっと待って、どうしようかな」
映画祭では、ゲストによるトークも企画しているため、会話がしやすいいすの間隔や照明の当たり具合を確認していたのです。微妙な位置の調整も妥協しません。
(磯村 勇斗さん)
「ハプニングが起こる確率を少なくしていくのが僕の役目だと思うので、そこをつぶしていっています一個一個」
そして迎えた「しずおか映画祭」当日。開演直前まで細かい調整が続きます。そして、リハーサルの終了とほぼ同時にオープンの時間となりました。
(会場スタッフ)
「お客さん入られます。どうぞよろしくお願いします」
客席は、県内外からやってきた1500人もの観客で満席に。強風の中、海岸で撮影したオープニング映像が流れ、華やかな映画祭の幕開けです。
(磯村 勇斗さん)
「本日は、記念すべき第一歩となる『しずおか映画祭』にお越しいただき、本当にありがとうございます。きょう一日、映画4本、たくさんのゲストが来てくださいます。本日は楽しいキネマの一日をお過ごしください」
今回の映画祭では、静岡で撮影された映画や静岡出身の監督による作品が上映されたほか、豪華ゲストとのトークも行われました。その中には、歌手やモデル、俳優として活躍する北村匠海さんの姿も。2025年に公開予定の短編映画「世界征服やめた」では監督デビューも果たしました。
(俳優 北村 匠海さん・27歳)
「役者で同じ現場にいても、二人で映画界の話をしてきたので、普段、スタッフさんたちがやるようなことを彼がやっていたのを見て、役者としてここにいないのが、気持ちよく映りました」
磯村さんの静岡での新たな挑戦。来場客も、その熱を感じたようです。
(沼津市からの来場客)
「うれしい カッコイイ スター。地元を盛り上げてくれる人なんだと、直に肌で感じた」
(東京からの来場客)
「俳優とは別の磯村さんを見られるのが楽しみ」
今回、初めての開催でしたが、大好きな映画を通して地元への恩返しを大成功させた磯村さん。すでに定期的なイベントになることを目標にしているようです。
(俳優 磯村 勇斗さん・32歳)
「沼津は大きな夏祭りがあって、あの夏祭り行くのが楽しみにしていた日…って、あったなと思って、あの日が来るのが楽しみなイベントに成長できたら面白い」「『しずおか映画祭』が、祭りのように、若い方からお年寄りまで行きたいと思える映画祭にしたいと、羽ばたいていきたいと思います」
2024.11.07