2025.03.17

「初動の情報収集、共有に問題あった」消防士が殉職した静岡市のビル火災で最終報告

ニュース 静岡市で2022年に発生し、隊員1人が殉職したビル火災について難波市長は17日「初動の情報収集や情報共有に問題があった」と市の検証結果を発表しました。

静岡市で2022年に発生し、隊員1人が殉職したビル火災について難波市長は17日「初動の情報収集や情報共有に問題があった」と市の検証結果を発表しました。

(静岡市・難波市長)
「個人がどう行動したかももちろんあるが、行動そのものよりも組織的課題」

17日、静岡市の難波市長が臨時の記者会見で発表したのは、2022年8月に発生したビル火災の検証結果について。

こちらは火災発生当時の映像です。

静岡市葵区の呉服町で起きたビル火災では消火活動をしていた駿河消防署の消防士が殉職しました。

この事故を受けておととし、事故調査委員会が再発防止策などをまとめた報告書を静岡市に提出しましたが、難波市長は「当時の活動が適切であったかの評価が不十分」と指摘し、市として再検証を実施。

2024年2月に検証の結果を公表し「消防局内の組織的な対応や決まりが徹底して守られていなかった点に問題があった」と厳しく指摘しました。

(静岡市・難波市長)24年2月28日放送
「厳しく言うと、(消防局は)事故を受けて再発防止に本気で取り組んでいない。徹底的に改善しないと変わらない」

委員会や市の調査の結果、隊員らは活動当時、命綱として使用する隊員同士をつなぐロープを使わずに屋内に侵入するよう小隊長から指示を受けていたことや、消防職員669人を対象に行ったアンケート調査によって「訓練をしたことのない方法による活動を上司から指示されたことがあるか?」という問いに30%が「ある」と回答するなど、”安全管理を疎かにする組織風土”が問題視されていました。

そうしたなか、17日、市が「検証の最終報告」を公表し、難波市長自ら 会見の場で説明したのです。

(難波市長)
「再度事実確認をして追記変更する部分を含めて記載内容を見直した」

17日公開された「最終報告書」は、事故調査委員会による報告書の公開後に、新たに関係者への聞き取りを行った内容などを踏まえて、追記や変更を加えたもの。

追記・変更箇所は「消火・捜索活動時の状況」を中心に38か所に及び、難波市長は「活動初期の情報収集が効率的では無かったことが新たに分かった」と話しました。

(難波市長)
「活動初期の情報収集が効率的ではなかった 隊員が現場到着直後に店長から情報収集後、単独で3階に侵入した 店長から得た出火点の情報を現場本部で報告していない 隊員間で情報共有をしていない」

市の最終報告書によると、消防隊員の1人が火災が発生した飲食店の店長から火元の部屋の情報を聞いていたものの、現場本部や隊員間で情報共有せず単独で火元の確認を行っていたということです。

また、同時間帯に災害機動支援隊の小隊長が、本来の火元とは異なる「給湯室」が火元であるという 誤った助言を行っていたことも新たに分かりました。

難波市長は「個人の行動の問題というよりも組織的な課題」と危機感をあらわにしました。

(難波市長)
「情報の共有は基本中の基本 これについて個人がどう行動したかももちろんあるが行動そのものよりも組織的課題。情報共有をやる仕組みや規範、そういうものをしっかりしていないことが課題。現場の臨機応変な対応に任せることが多い」

市消防局は再発防止策として組織風土の改善を図るための「基本計画」を2024年8月に策定していて、今後、計画に基づき現場での活動について検証する「プロジェクトチーム」の運用や、統率のとれた指揮命令系統を身に付けるための新たな訓練を実施する方針です。

この記事をシェアする