(航空・旅行アナリスト 鳥海 高太朗さん)
「お久しぶりです、ご無沙汰してます。今回静岡に来られてびっくりしました」
(大井川鉄道 鳥塚 亮 社長)
「ここは大変なのでどうにか解決しないといけない」
SLやトーマス号が人気の大井川鉄道。2022年発生した大雨被害で、2年以上経った現在も半分の区間が不通のまま。全線復旧には、国などの支援を受けても8億円もの負担が必要で、現状では絶望的な状況…そんな中、2024年やってきたのが鳥塚亮社長。これまで千葉の「いすみ鉄道」や新潟の「えちごトキめき鉄道」など赤字の地方鉄道を再建させてきた“ローカル鉄道再生請負人” その手腕を買われ白羽の矢が立ったのです。
(鳥海さん)
「どういった経緯で社長就任の話があって、どういう形でお受けした?」
(鳥塚社長)
「大井川鉄道で色々トラブルがあって大変な状況になっていると聞いて、引き受けてくれないかとオファーをいただいて。私の好きな蒸気機関車がここにいるもんですからね」
子どものころから大のSL好きだった鳥塚社長。当時、岩手まで撮影に行った思い出のSLがここで大切にされていたことも、オファーを受けた大きな理由でした。
社長就任から半年。来月には“鳥塚流”の新企画が!それは、静岡食材をつかった料理が食べられる「食堂車」。
(鳥塚社長)
「やっぱり観光って女性なんですよ。そうすると、やっぱ美味しいもの。女の人はやっぱり美味しいものがわかると、口コミでこうね、よかったわよって言っていただけるじゃないですか。だから、ちょっとお料理もですね、女の人を対象にした、そういう感じ」
さらに、新たな目玉、“電車型の観光列車”も登場予定。
(鳥塚社長)
「今SLとトーマスが走っていますが、そのほかにもう1本、観光列車的なものを走らせて、3本柱でいきたい」
(鳥海さん)
「それは誰に乗ってほしいんですか?」
(鳥塚社長)
「40代以下ですね。昭和を知らない世代が今、昭和っていいねって言ってくれている、だからそこをターゲットにしたいと」
鳥塚社長の新たなアイデアが次々と飛び出す一方で、目をそらすことができないのが、2年以上も続く“不通区間”の現実。11月、その現場を取材するため、不通区間にある下泉駅へ。ホームに出ると錆びた線路に草が生い茂り、廃線したかのよう。
(鳥海さん)
「こっちの方はだいぶ生い茂っている感じですね」
(大井川鉄道 広報 山本豊福さん)
「かなりですね、こちらは」
(鳥海さん)
「長期間止まっていることを物語るような」
(山本さん)
「やはり2年経っている」
そして、下泉駅から線路を歩き、土砂が崩落した現場へ。
(鳥海さん)
「全く鉄道が走っていたとは感じないぐらいの状況」
(山本さん)
「もうちょっとこっちへ来ていただくと、山の上から土砂がきて、大井川まで土砂がいってる」「大型の重機が入れない。直すにしても、かなりやっかいだと想像できます」
(鳥海さん)
「ひと駅の間にこういう場所が20か所以上あるということで、これを掘り起こすだけでも相当な時間を要すると思います」
コロナ禍以降、赤字経営が続き、自力での復旧は不可能な中、2024年、県は大井川鉄道への行政支援について“全線復旧を前提に”具体的な議論を行うと決めたのです。番組が行った視聴者アンケートでも、大井川鉄道の全線復旧について、「国や県、自治体などが支援して復旧させるべき」が85%と「支援してでも復旧させるべき」という意見が強いようです。その県との協議、現在の状況は?
(鳥塚社長)
「おそらくもう近々、1か月、2か月ぐらいの間に、大きな方針は出てくるんじゃないかなと。暗闇の中で向こうに光が見えてる状態です。だから、あそこまで行けばなんとかなるんだっていうところは見えてますね」
(鳥海さん)
「復興に向けてのスケジュール感というか、イメージ的にはどんな感じですか」
(鳥塚社長)
「やはり3年ぐらいはかかるんじゃないかなと」
(鳥海さん)
「3年ぐらい。3年で開通させたい?」
(鳥塚社長)
「させたいと思いますね。もう2年止まってるわけですから、これから3年後って5年じゃないですか。5年止まっていたら通常、世の中から忘れ去られますよね」
“3年後”の全線再開を目指すと明言した鳥塚社長。一時は、廃線すら危惧された中で、2025年は、重要な1年となりそうです。
(鳥塚社長)
「いま川根温泉笹間渡で止まっているが、次の地名まで2025年はなんとか動かしたいなと思っている。順番に一駅ずつでも動かしていきたい」
2024.12.27