2024.10.10

【衆院選・静岡8区】“裏金問題”受けベテラン議員引退で大きく様変わりした構図での短期決戦の行方は(浜松市)

ニュース 浜松市中央区の一部が選挙区の静岡8区は、“裏金問題”を受け自民党を離党したベテラン議員が引退。一方、前回“共闘”が実現した野党は候補者が乱立する見通しです。

浜松市中央区の一部が選挙区の静岡8区は、“裏金問題”を受け自民党を離党したベテラン議員が引退。一方、前回“共闘”が実現した野党は候補者が乱立する見通しです。

浜松市中央区のうち旧中区、東区、南区を選挙区とする静岡8区。8区では、裏金問題を巡り安倍派の座長を務めた塩谷立前衆院議員が自民党を離党、次の衆院選には出馬せず政界引退を表明しています。

自民党が、その後任として急きょ公募で選んだのが、浜松市議だった稲葉大輔氏です。衆院選の候補者となる支部長に選ばれてわずか1週間余り。稲葉氏は事務所開きを行いましたが、塩谷氏の事務所をそのまま借りるかたちに…。活動のスケジュールも塩谷氏の秘書らが組み立てる“急ごしらえ”の体制です。

(自民・静岡8区 稲葉 大輔氏)
「準備もままならない状況ですし、万全の体制と言えばうそになります」「塩谷先生は大ベテランの国会議員のキャリアをお持ちなので、私が後任が務まるとは思っていません」「引き継ぐべきものは引き継ぎますが、変えるべきものをしっかり変えていく」

市議選では3期連続でトップ当選を果たしましたが、“旧西区の7区”が地盤のため“8区での知名度”が課題です。先週末は地域の秋祭りを回りました。その会場には塩谷氏の姿も…。衆院議員を10期務めた自らの“地盤”を引き継げるのかたずねると…。

(塩谷 立氏)
「難しいよ。そりゃ簡単な話ではないよ。当たり前の話ですよ」「どれだけ支援してもらえるかでしょう。時間もないことだし」

浜松北高校から慶応大学を卒業し、舘山寺にある家業のホテル再生に取り組んだ稲葉氏。元経営者として、雇用の確保や賃上げにつながる「経済政策」や、市議として力を入れた「子育て支援」の強化を訴えます。一方、“裏金問題”については…。

(自民・静岡8区 稲葉 大輔氏)
「裏金は8区だけではなくて、日本全国の皆さんが」「政治とカネの問題は関心ごとの第一だと思います。私は政治資金規正法のこと、完全に透明化して電子化するとか、不記載ゼロであるとか、これをしっかり訴えて、新しい世代の考え方として」「ご理解ご納得いただいて訴えていきたいと思っています」

一方、小選挙区での“連勝”を狙うのは、立憲民主党の源馬謙太郎 前衆院議員です。

(立憲・静岡8区 源馬 謙太郎 前衆院議員)
「これまでの主張とぶれる首相。やっぱり信頼できない。こういう首相のもとでは政治改革は絶対に成し得ないと思います」

源馬氏は浜松市出身で、県議を経て2017年の衆院選で当時の希望の党から出馬し初当選。立憲民主党から出馬した前回は“野党共闘”により自民党との一騎打ちが実現し、小選挙区で初めて議席を獲得しました。9月の代表選では野田代表の推薦人に…その野田代表は野党連携に動いていますが、8区での“共闘”は難しい状況です。野党の候補者が乱立する見通しの中、危機感をもって地域のイベントを小まめに回ります。源馬氏が訴えるのは政権交代の実現です。

(立憲・静岡8区 源馬 謙太郎 前衆院議員)
「与党と野党が伯仲して緊張感がないとね」

(浜松市民)
「アメリカ式がいいんですよ。共和党と民主党、何かあった場合は…」

(立憲・静岡8区 源馬 謙太郎 前衆院議員・51歳)
「そうすると、政治家ももっと緊張をもって」

(浜松市民)
「頑張らなきゃだめだ」

(立憲・静岡8区 源馬 謙太郎 前衆院議員)
「頑張ります」

“信頼”をスローガンに掲げ国会議員の世襲制限や政策活動費の廃止を訴えています。

(立憲・静岡8区 源馬 謙太郎 前衆院議員)
「残念ながら、この選挙区は、政治とカネの問題の象徴的な地域の一つになってしまったと思います。だからこそ浜松から本気の政治改革、政治とカネに決着をつける」「政治に信頼を取り戻していけるか、これが大きな争点になるので、一人でも多くの方に会って、しっかりと誠実に訴えていきたい」

日本維新の会からは寺嶋瑞仁氏が出馬を予定しています。ロボットベンチャー企業の元代表で、街頭では、自作のロボットを従えて自らの政策を記したビラを配っています。和歌山県出身ですが、ものづくりの街・浜松から新規産業の創出などを訴えています。

(維新・静岡8区 寺嶋 瑞仁氏)
「私が掲げる政治のコンセプトが“試せる日本”になります」「世界でリードできる企業、世界で活躍できる製品・サービスを作っていくためには、規制改革を行って、まずは作ったものをしっかり世の中で試すことができる、その基盤をしっかり作りたい」

身を切る改革として議員報酬や定数削減を掲げ、“裏金問題”についてはこう指摘します。

(維新・静岡8区 寺嶋 瑞仁氏)
「しっかり民間感覚を持って裏金問題に切り込んでいきたい。国民の信頼を取り戻すことにつなげていきたい」

共産党からは元衆院議員の平賀高成氏が出馬予定です。

(共産・静岡8区 平賀 高成 元衆院議員)
「お金の力で政治がゆがめられることがないようにしてもらいたい。全国共通だと思います」「裏金問題をなくしていくためには企業団体献金やパーティー券の全面禁止というところに踏み込まないと、きれいな政治にはならない」

前回の衆院選では立憲民主党との“野党共闘”が実現し、共産党は公示直前に擁立を取り下げましたが、今回は“独自候補”として戦います。

(共産・静岡8区 平賀 高成 元衆院議員)
「立憲民主党の代表選の中で、共産党とは政権は作らないと皆さん言っていた。それを言ってしまうと野党共闘の原点を覆すことになるので」「比例代表選挙で議席を増やさないと今の国会を変えることにはつながっていかないので、立候補を決意しました」

学習塾塾長の加藤順久氏は無所属で出馬する予定です。「浜松から日本を立て直す」として、教育改革や消費税率の引き下げを訴えています。

(無所属・静岡8区 加藤 順久氏)
「国は国家といいます。国は家です。国は一人も見捨ててはいけない」「それが一番政治で大切なことだと思っています」

ベテランの引退で大きく構図が変わる静岡8区。裏金問題を軸に激しい論戦が繰り広げられそうです。

この記事をシェアする