与党は先週末、2025年度の税制改正大綱を決定し、103万円の壁の見直しについては「123万円」に引き上げると明記しました。178万円を主張してきた国民民主党県連は実現に向け、訴えを続けていくことを確認しました。
23日午前。静岡市で会合を開いた国民民主党静岡県連。その冒頭、いわゆる「103万円の壁」の引き上げについて、田中健 県連会長は…。
(国民民主党静岡県連 田中 健 会長)
「自民党税制改正大綱に123万円が明記されましたが、私たちはこれで納得しているわけではありません」「私たちは178万円ということが国民との約束であります。これがバナナのたたき売りではないですが、150万、140万、それでいいということではなく」「実現に向けて、最後の予算が成立するまで。私たちは訴え続けていきたいと思う」
あくまで「178万円」での着地を目指して協議を続けていくと話した田中県連会長。与党が示した「123万円」という引き上げ額に関しては…。
(国民民主党静岡県連 田中 健 会長)
「178万円の半分にもいっていないということであって、しかし、2回目に同じように(与党は)123万円しか出してこなかったので、一度協議を止めたという経緯があるので、不十分と言わざるを得ない」
先週、20日、金曜日、役職停止中の玉木代表も、与党が「123万円」と明記したことについて街頭で訴えました。
(国民民主党 玉木代表・役職停止中)
「これじゃだめだ、もう1回やろうということで協議を再開し、継続する、いわばここで終わりではなくて延長戦に入ることを決めたので、皆さん」
12月11日、自民・公明両党と国民民主党は、所得税が発生する「年収の壁」の引き上げについて3党で合意していました。
(合意書内容)
『103万円の壁は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる』
その後、3党は協議を重ねますが、与党側の「123万円」とする案に国民民主党が反発、3党の協議は中断していました。そして、先週、20日・金曜日、3党の幹事長が国会内で会談。11日の3党幹事長合意に基づき、「実現に向け、引き続き関係者間で誠実に協議を進める」などとした合意書に署名、24日、政調会長と税調会長が出席して、年収の壁を巡る協議を再開することを確認しました。
(国民民主党 静岡県選出 榛葉 賀津也 幹事長)
「先日ですね、123万という数字が出て、お話にならないということで、我々の交渉に古川さんと、浜口誠さんが席を立たざるを得なかったんですけども、再協議をするということですから、少なくとも新しい新たな提案が出てくるんだろうと思います」
新たな提案を期待する国民民主党の榛葉幹事長ですが、NNNの取材では、与党側には「123万円の引き上げ」を「140万円」とする「裏プラン」の存在があったといいます。ある財務省関係者は、「これくらいなら、税収の上振れ分などで対応できるかもしれない」と話し、“妥協”できるギリギリのラインといえるものです。最初から「140万円」を国民民主党に提示した場合、より高い額を要求される可能性もあると見越して、まずは「123万円」を提示したとみられます。
一方、国民民主が178万円にこだわるのは、選挙から訴え続けてきた“手取りを増やす”政策の実現のためです。123万円と178万円では、減税額にどれだけ差が出るのか?専門家の試算によると、額面の年収が400万円の人で、与党案の123万円に引き上げた場合、納める税金は、5千円減少。一方、国民民主党案の178万円の場合、11万3千円減少することになるため減税額には大きな開きがあります。
自民・公明両党が先週20日・金曜日に決めた2025年度の税制改正大綱では、いわゆる“103万円の壁”について、123万円まで引き上げることが明記されました。一方、与党と国民民主党との合意に「引き続き、真しに協議を行っていく」ことが盛り込まれたことについて、税制の議論をリードしてきた自民党の宮沢税調会長は…。
(自民党 宮沢 税制調査会長)
「かなり玉木代表・榛葉さんの会見等大変人気がある、私どもも、そういう動きに、ある程度対抗できるようなSNS上の働きかけといったものを、やはりこれからはしていかなければいけないんだろうと思っております。ただ、税は、やはり基本的に理屈の世界で、しっかりとした理屈を伴ったものでなければいけないということも、また事実だろうと」
石破税制改正大綱の与党案は、今週、閣議決定される見込みですが、税制度の改正は年明けの通常国会で本格的に議論されます。
2024.12.23