静岡・湖西市の浜名湖沿いに、高さ23メートルの“巨大な山”がつくられ、話題となっています。約9億円を9億円をかけて整備された「山」、一体何に使われるのでしょうか。
湖西市の浜名バイパスを走ると見えてくるのが…。
(西尾 拓哉 記者)
「バイパスの脇に巨大な山が見えてきました。一体何に使われるのでしょうか」
遠州灘と浜名湖の間にそびえたつ巨大な山。実はその正体は…。
(県浜松土木事務所 池谷 拓巳 技監)
「こちらが津波が起きたときに避難する“命山(いのちやま)”です」
津波から避難するための“命山(いのちやま)”とよばれるものです。
県内の沿岸部では、想定される南海トラフ巨大地震で津波の被害が心配されています。南海トラフとは静岡を含む東海地方から九州にわたって広がる海底の深い溝のこと。県は、当初10万5000人と想定された犠牲者を減らすための対策を進めています。遠州灘と浜名湖の間にある湖西市の新居弁天海釣公園には、地震発生から約23分後に、最大15.8メートルの津波が押し寄せると想定されています。公園利用者の命を守るため、県が約9億円をかけて整備を進めてきた“命山”の特徴は…。
(西尾 拓哉 記者)
「浜名湖のほとりにつくられたこちらの命山。その高さは23メートルと県内で最大です」
県内で最も巨大な命山。その頂上まで案内してもらうと…。浜名湖を一望できるのはもちろん、浜松のシンボル・アクトタワーに弁天島の赤鳥居(弁天島観光シンボルタワー)、晴れた日には150キロ以上離れた富士山も見渡せる“ビュースポット”でもあります。ところで、津波の避難場所といえば「津波避難タワー」がおなじみですが…命山を整備したのには“ある理由”がありました。
(県浜松土木事務所 池谷 拓巳 技監)
「避難する場所ではありますが、普段から使ってもらわないと“心の距離”ができて距離感が遠くなってしまうので」「完成した後に住民の方々が使いやすいような場所ということで、命山を採用しました」
ただの避難場所ではなく、“地域の憩いの場”にもなってほしいと考えているそうです。命山は江戸時代に高潮が発生したときの避難場所として整備されたのが始まりとされ、県内では、これまでに18か所で整備されています。まさに“先人の知恵”を生かした命山。新たに完成する湖西市の命山には一度に750人が避難できるということです。
(県浜松土木事務所 池谷 拓巳 技監)
「いつ起こってもおかしくないといわれているので、今、起こったらどうしたらいいのかということを、常に、どの場所にいても分かるような心構えを持っていただければと思います」
県浜松土木事務所は、2025年1月7日まで命山の愛称を募集していて、「地域性があり安心感につながる愛称」を寄せてほしいと話しています。選ばれた愛称は2025年3月中旬に命山で行われる避難訓練の際に、お披露目される予定です。
2024.12.24