×

【解説】トランプ米大統領の演説控える「相互関税」影響…石破政権の対応は?政治ジャーナリスト青山氏が詳しく

6:52

【解説】トランプ米大統領の演説控える「相互関税」影響…石破政権の対応は?政治ジャーナリスト青山氏が詳しく

【スタジオ解説】 (伊藤 薫平 キャスター) あす3日にも発表される「相互関税」がどういったものなのかというのをお伝えしていきます。 「相互関税」というのは貿易相手国と同じ水準まで関税を引き上げるというものなのですが、関税を引き上げるスピード感というものは、国によって異なります。日本は、国会での審議なども含めてある程度時間がかかるのですが、アメリカの場合は大統領に大きな権限が与えられていて、大統領令によって関税をかけられるという仕組みになっていますので、このスピード感での関税のかけ方ということにつながっています。  具体的な例を次で見ていきます。乗用車について、日本からアメリカに輸入する場合、そもそも、乗用車に関しては、現在、2.5%の関税がかけられています。それが、あす3日以降、追加関税として25%が上乗せされる。27.5%ということになるわけです。そこにこの「相互関税」、日本だけ免除されるのではないか…といった意見もありますが、静岡経済研究所の恒友専務理事は、もちろん、免除の可能性はありつつも、プラスαでのってくる可能性も否定できないという話をしていました。これは、日本の国内で販売されている車が、例えば、約100万円としますが、この関税27.5%がのってくると、127万5000円でアメリカで販売される。アメリカで売られているものより高く感じる…というわけで、「相互関税」がさらにのると、より高くなるかもしれないということなのです。  青山さん、トランプ大統領が「仕掛けてきた」といってもよい、この「相互関税」ですけれども、石破内閣の受け止めとしてはどうなのでしょうか? (政治ジャーナリスト 青山和弘さん) まだ、全体像は分からないのですけれども、日本経済に大打撃の可能性がある。だから、日本だけ除外を求めるというのが基本的な姿勢なのです。ただ、除外の求め方として、私は石破首相に直接取材したのですけれども、いわゆる報復関税、「日本もこれだけ上げるから、お前も下げろ」というようなやり方は日本は取らないといっているのです。では、どうするのかというと、日本の企業は、アメリカに多大な投資もして…「最大の投資国」だと、先ほど石破さんも言っていましたけれども、どれだけアメリカに「雇用」を生んで、アメリカ国民のためになっているかというのを説明していくと。すでに、この説明というのは、さんざん日米首脳会談でもしてきていて、石破さんは、トランプさんの周辺の閣僚達は、これを理解し始めているという認識なのです。だから、いずれ分かってもらって、除外してもらえるのではないかということに期待感を持っているのですが、ちょっと取材した私の感覚では、本当にそうかな?というのは、まだまだ分からないなというのが率直な感想です。なので、当面は、日本の産業をいかにして守っていくか、これに注力していくということになるのだと思います。 (伊藤 薫平 キャスター) 津川さん、日本の産業という話も青山さんからありましたが、静岡の製造業にも、影響が大きそうですね。 (津川 祥吾 アンカー) そうですね、県内は自動車産業、関連産業が多いですよね。社会の変化に対応するというのは民間企業にとっては宿命でもあります。また、そこに企業の経営力が問われてくるところではあるのですけれども、そもそも自動車産業というのは、今、そもそも「百年に1回の大変革期」といわれている中での対応がされていて、なおかつ変化がいつまで続くのか先が見えないのですよね。日本も「セーフガード」という緊急の関税のかけ方があるのですが、これは期間を決めるのですね。「トランプ関税」はいつまでやるのかよくわからないということもあるので、先が見えないという中での対応…なかなかやはり難しいかなと思います。 (徳増 ないる キャスター) その…製造業では、やはり静岡とアメリカというのは密接に関係しているのですよね伊藤さん。 (伊藤 薫平 キャスター) はい、静岡経済研究所の恒友さんにも聞きましたけれども、静岡から海外への輸出額全体でいうと、やはり1位がアメリカだそうなので、やはり密接な関係といういことが言えそうです。 関税が私達の生活にどう影響を与えていくかということで、次に見ていきます。恒友専務理事によりますと、今後、関税の掛け合いになることも懸念されているという中で、輸入物価が上昇して、そうした中で、物価高対策の一つとして焦点が当たっていくのが「消費税」ということになります。 野党側からは、国民の生活に直結する食料品の消費税の減税が叫ばれてきているわけなのですけれども、一方の石破首相は、4月1日、「税率の引き下げは適当ではない」ということで、否定的なスタンスをとったわけなのです。ただ、青山さん、実際はどうなのでしょうかということですね…。 (政治ジャーナリスト 青山和弘さん) 物価高というのは、今、本当に最大の焦点といってもよいと思うのですけれども、石破さんや石破さんの周辺に取材すると、やはり消費税、特に食料品にかかっている「軽減税率」を下げるということは、結構、実は前向きに検討しているのです。やはり国民民主党とか、今、れいわ新選組というのは、世論調査で支持率が高いですけれども、2つとも、やはり減税を訴えている。今、やはり国民は、補助金とか給付金よりも、「取るものをやめてくれ」という傾向が強い…これはもう明らかなのです。その中で、石破さんも、自分は「増税派」だと言われることをものすごく気にしていて、参議院選挙が近いですし、これから物価も上がってくる、さらに上がるかもしれないという中で、やはりこの「軽減税率」を引き下げるというのは「あり」だとも話しているし、さらに周辺に対しては、政権を失う?自民党がもし参議院選挙で負けて野党になるよりは安いものだ…という言い方もしているのです。それくらい危機感が強いということなのだろうと思います。 (津川 祥吾 アンカー) ただ、それだけ減税にわりと前向きかもしれないと言われていたわりには、1日、明確に否定しましたよね、あれは…なんでですかね? (政治ジャーナリスト 青山和弘さん) そうなんです。きのうの記者会見で(石破首相が)否定した理由を私はこちらに書きました。2つあると思うのです。1つは「まだ早い」ということで…これはやはり、出すなら参議院選挙の公約…。 (津川 祥吾 アンカー) 選挙に対して… (政治ジャーナリスト 青山和弘さん) そうなのです。選挙に、やはり勝つために「軽減税率」を下げますということを訴える…だとすると3か月以上ありますから、今言うと、サプライズ感がなくなってしまう。だから、今は一応否定しておくというのが定石かとも思います。 (津川 祥吾 アンカー) 早く言ってほしいですけれどねえ… (政治ジャーナリスト 青山和弘さん) そうですね、ただ、やはり、やるにも時間がかかるし、やはり選挙の「玉」にしたいというのがひとつ思惑としてある。あとは、自民党内に「強い抵抗」があるのです。特に、この「抵抗」の急先鋒というのが、党のナンバー2の森山幹事長なのです。もう、「消費税」の減税などさせないし、「絶対やってはいけない」と周辺にも語っているのです。これからも揺れると思うのです。本当にやるべきか、やらないべきか…石破さんというのは、よく「ブレる」といわれますけれども、本当に「迷う人」なのです。なので、これから、いろいろな声が出てくる中で、本当に、この「軽減税率」を下げるということを打ち出せるのか…まだ不透明だといわざるを得ないと思います。

10:45

おすすめ