2024.12.06

【密着取材】古着リメークの全国コンテストに静岡県内からデザイン学校の学生が挑戦…最終審査の結果は?

ニュース 複数の古着を材料として新たなファッションを生み出すデザインコンテストが開催され県内から唯一、最終審査に進んだデザイン学校の学生に密着しました。

複数の古着を材料として新たなファッションを生み出すデザインコンテストが開催され県内から唯一、最終審査に進んだデザイン学校の学生に密着しました。その、まさかの結果とは?

いまや服は、ネットで気軽に買える時代。ファッショントレンドの変化も激しく服の大量生産・大量消費により“ファッションロス”と呼ばれるまだ着られる状態にも関わらず捨てられてしまう衣類の増加が問題となっています。

その一方で、近年、若者を中心に人気を集めているのが「古着」。ある調査によると(リユース経済新聞)、リユース市場での「衣類・服飾品」の市場規模は年々拡大していて、2023年は前年比15.5%増の5913億円に。

そんな中、“ファッションロス”の問題を少しでも多くの人に意識してもらいたいと開催されたのが“リクロース カップ”。これは、古本や古着を販売する「ブックオフ」が開催しているもので、店頭で1500円以下の古着を“素材”として利用し、新しいファッション作品を生み出すデザインコンテストです。

4回目となる2024年は全国から428点もの応募があり、一次審査では、デザイン画による選考が行われ、最終審査に進む39点に絞られました。

その10倍以上の倍率を突破した一人が、「静岡デザイン専門学校」1年生の飯田恵花さん・19歳。ファッションデザイン科で学ぶ飯田さんは、授業の一環で応募しましたが、その時は、まだ、入学して間もない6月。洋服作りも、基礎を学び始めたばかりでした。

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
「もう、ただただ、驚きました」「服作りなんて一切まだできない状態で、でこれを書いて出して受かったっていうので、もう作んなきゃっていうのと驚きがすごかったです」

過去のコンテスト作品から着想を得るなどして、ネクタイやスカーフを編み込みそれを組み合わせたデザインを考えた飯田さん。そこに込めた想いとは…。

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
「ネクタイとかは古着ですから、いろんな方が持っていたものを」「私が受け取って、それを編み込んで、人と人をつなげるみたいな」「人々のつながりみたいなのを」「テーマにしています」

最終審査は、実際に服を制作して、それをモデルが着てランウェイを歩くファッションショー形式。この日は、製作に必要なネクタイやスカーフを探しに、店へ足を運びました。サイズや形も様々な古着が数多くある中、飯田さんが注目するのは生地の“色”。

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
「三つ編みで結んじゃうんで、綺麗に色が出るものとか、そんな感じですね。選ぶ基準は多分、色です」

そして、使いたい素材が集まったら、いよいよ服の製作へと入ります。9月、学校は夏休み中ですが、そこには、真剣な表情でミシンと向き合う飯田さんの姿がありました。入学したてで、服の製作経験も“ほぼゼロ”の飯田さんは、慣れない作業に戸惑うことばかり。しかし、一次審査を通過したあと、審査員から「楽しんで」と声をかけてもらったことが励みになったといいます。

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
「作ったことなくて、先生たちの力も借りるんですけど、でも焦りがあったんですよ。でも、楽しんでやってほしいっていうので、焦り以外にも楽しんで、自分が作りたい服を作ろうっていう気持ちになりました」

みんなは夏休みの中毎日のように学校に通い作業を行った飯田さん。締め切り当日の9月30日に、2か月かけて製作した作品が、ついに完成しました。

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
Q.完成形見てみてどう?
「え、もうなんかすごい、すごいですね。すごいですね。もうなんかすごい、すごいしか出てこない」

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
「こう、フワッて広がったスカートに、大きくスカーフを使ってて、間はネクタイを編んであって中が見えるっていうのが、一番のこだわりというか」

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
Q.自信は?
「先生とかとも、それこそ、きょうもいろいろな学科の先生が手伝ってくれましたし」「2か月頑張った集大成というので、もう入賞してくれたらいいな~とはなりますけど、もう、これが完成したっていうのだけで、もう、自信がいっぱいなんで、もう大丈夫です」

12月1日、遂に迎えた最終審査当日。会場の福岡国際会議場には、東京や大阪、北海道など全国からやってきたライバルたちの姿が。

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
「ちょっと心臓バクバク言ってるんで、緊張してるんだと思います」

審査員を務めるのは、ファッション誌の草分け的存在である「装苑」の編集長を務めてきた児島幹規さんや、スタイリストの相澤樹さんなど計5人。ファッションを学ぶ学生にとって、第一線で活躍するプロフェッショナルに審査してもらえることだけでも、夢のような経験です。

会場に独特の緊張感が漂う中、ついに始まったランウェイ。作品を身に着け、さっそうと歩くモデルの姿を、真剣な眼差しで見つめる飯田さん。いよいよ飯田さんの作品が登場すると…緊張と感激から目を少し潤ませながらも、じっとモデルの歩きを見つめます。

そして、ついに最終審査の結果発表の時が訪れます。39点の中から評価が高かった順に、ブランプリ、準グランプリ、ブックオフ賞が発表されます。まずは、ブックオフ賞から…受賞作品を着たモデルが登場します。すると。

(結果発表)
「エントリーナンバー2番、静岡デザイン専門学校、飯田恵花さんです、おめでとうございます」

なんと、飯田さんの名前が呼ばれたのです。まだ1年生で、デザインや制作経験がほとんどなかった飯田さんの作品が、全国から集まったレベルの高い作品の中から選ばれたのです。

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
「信じられなくて、ちょっと、もうだめだ~、信じられないです、もう(賞を)取れると思ってなかったので、ほんとうれしいです。」

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
「(一次審査を)通過しただけで、夢みたいだったので、こんな賞まで取れて、満足してます」

児島審査員長は飯田さんの作品に対して…。

(児島 幹規 審査員長)
「第一印象の強さというか、あの服にしかない美しさがあったんですよね。やはりそれは、彼女の柄合わせのセンスというか。でも、そこのベースにあるのが、ちゃんとコンセプトとして”結ぶ”というテーマがあって」「世界が、人が結ばれていくところを表現したいっていうのは見えた感じがありましたね」

夏休み返上で、慣れない制作に毎日取り組んだ努力が、今回、受賞という形で評価され、飯田さんにとって大きな自信となったようです。

(静岡デザイン専門学校 1年 飯田 恵花さん・19歳)
「今後、また、コンクールとかに出していって、グランプリの方が出る『装苑賞』とかは、2年生になったらやるので、また、チャレンジしていきたいなって感じです」

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