臨時国会で注目の「年収の壁」問題。国民民主党・玉木代表の役職停止処分がどう影響し、“年収103万円の壁”引き上げ巡る議論がいかに決着するのか…その行方は?政治ジャーナリストで元日本テレビ官邸キャップの青山 和弘さんが詳しく解説します。
(スタジオ)
(高山 基彦 キャスター)
現状は、年収が基礎控除と給与所得控除の合計を超える103万円を超えると、所得税と住民税が発生しています。国民民主党は、この控除額の合計を178万円まで引き上げることで、手取りを増やし、“働き控え”を解消しようという狙いがあります。一方、政府の試算では、国民民主党が主張する178万円に引き上げた場合、税収が7兆円から8兆円に減ってしまう、うち地方には4兆円の影響があるとみています。これには地方自治体からも反対の声が上がっています。与党からは、所得税の壁のみを引き上げて住民税はそのままにして、地方への影響を少なくしようという案も出ています。
すでに“壁”を引き上げることは、与党と国民民主党で合意していますが、主にこの3点に駆け引きが続いています。
1つ目は引き上げ幅をどうするのか?与党からは、物価上昇率に合わせ「10万円程度」引き上げでいいのでは?という声出ているようですが、国民民主側は最低賃金の上昇率に合わせ選挙戦でも訴えた178万円と主張。
そして、引き上げ開始時期について、与党内には「再来年から開始」という案が出ていると一部報道で伝えられていますが、国民民主側は反発してます。
また、与党は国民側が「財源を示すべき」と批判しています。
(津川 祥吾 アンカー)
青山さん、与党と国民民主党の間の議論ですが、具体的にどこまで進んでいるんですか?
(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
これは、私もよく聞かれるのですが、ほとんど進んでいないんです。細かい点は、まだ全く話し合われてなくて、論点整理に終わっているんです。というのも、自民、公明は、これから審議に入る、補正予算案、今年度の震災復興の予算なども盛り込んだ補正予算案を、まず、国民民主党に賛成してもらって、これが成立してから細かい議論に入りたいんです。細かい議論を始めてしまうと、万が一「補正」に反対されてしまうと困るので、細かい議論はその後という、今、スケジュール感になっているんです。
(津川 祥吾 アンカー)
でも、国民民主党側からすると、「補正」だけ通してですね、細かい議論…といった時に、全然違う話になったら困るから…細かいところも…なるべく早めに議論したいのでは…。
(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
それを、国民(民主党)が、どう突き付けてくるかなんですよね。実際、今、説明いただいたように、ものすごく差が大きいんですよ。幅も、与党案だと、「物価上昇率の10万円程度」というと、120万円いかない程度なんですね。で、国民民主党は178万円で、「びた一円負けない」みたいなことを言っていて、ものすごくかい離があるわけです。かい離がある、しかも財源がものすごく必要、7.6兆円も必要なので、与党側は、国民民主党は財源も示すべきだ…といって国民民主党にプレッシャーをかけているんですね。だから、この議論は、政策論というよりも政治論になってくる可能性があるんです。つまり、どれくらいが全体のパッケージとしていいか…というよりも、やはり国民民主党にこれからも協力してもらうため、補正予算だけでなく、来年度予算にも協力してもらうために、どこまでだったら妥協できるのかという腹の探り合いになると思いますので、結局、ぎりぎりになって、政治決断という形になると思いますので、まだ落としどころがなかなか見えないというのが現状なんです。
(津川 祥吾 アンカー)
ただ、議論の結論の時期としては…年内というのは、もう決まっているということですよね?
(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
年内に決めないと、来年度予算に反映できないということになります。
2024.12.05