忘年会シーズンとなり飲食店などは連日にぎわいをみせています。一方で、毎年この時期に嘆かれるのがタクシー不足。2024年の状況を取材しました。
気が付けば2024年も残りわずか。何かと忙しくなるこの時期に毎年気になるのが、忘年会シーズンのタクシー不足。タクシーを巡っては、2020年新型コロナの国内流行により、外出を控える動きが長期間続いたことで需要が激減し、タクシードライバーの収入が減少。静岡県内では、2018年6200人余りいたタクシードライバーが、コロナ禍で5000人を割り込み、その後も減少が続いたのです。その結果、新型コロナが5類に移行した2023年の忘年会シーズンは、深刻なタクシー不足となりました。
(杉本 汐音 記者)
「タクシーを待つ人で長い行列ができていますが、タクシーの姿はありません」
静岡駅では、バスや電車がなくなった午前0時を境に、タクシーがほとんどいなくなっていました。では、気になる2024年のタクシー事情は…。
(静岡ひかりタクシー 電話受付)
「はい、ひかりタクシーでございます」
ここは、静岡市内に拠点を置くタクシー会社。
(静岡ひかりタクシー 電話受付)
「すいません、今ちょっと近くに空車がないんですよ。少しお待ちになりますがよろしいですか?」「そうだな15分か20分くらいはかかりそうすです。よろしいですか」
この日は、金曜日の夜という事もあり、午後6時ごろになると、タクシーを呼ぶ電話がひっきりなし。待ち時間は15分以上。静岡駅南口のタクシー乗り場に行ってみると…。
(勝俣 宜彦 記者)
「終電が出た後の駅前のタクシー乗り場です。この時間多くの人がタクシーを待っています」
(タクシーを待つ人)
「待ちますね、もう大変です。だから多分忘年会が始まってますけども、週末は本当に苦労しています」
午後11時過ぎから客の列ができ始め気付けば10人以上が列になっていました。駅の北口でも長蛇の列。では、どれくらい待つのか。2024年、静岡市が混雑状況の見える化のためにタクシー乗り場に設置した配信カメラで確認してみると。取材中の待ち時間は長くても10分ほど。思いのほか待ち時間は短く去年よりも列が短い印象でした。先ほどのタクシー会社に聞いてみると…。
(静岡ひかりタクシー 泉 真 社長)
「業界としても、タクシードライバーを増やそうということは熱心に取り組んでいる。現状静岡市だけで言えば、需要と供給はバランス的にはマッチングしてきたのではないかと個人的に思う」
2024年は従業員を23人増やし、この時期だけ夜の勤務人数を増やすように調整しているといいます。また、静岡市によりますと、市内のタクシー事業者は、12月から、深夜の時間帯に稼働する タクシーの台数を2023年の約190台から240台ほどに増やしているということです。また、市は、2025年1月まで、タクシー乗り場の映像をyoutubeで配信しているので、混雑状況の確認に利用してほしいと話します。
(静岡市 交通政策課 松村 昇 係長)
「(動画を)見ていただいて中で、(乗車)時間をずらしたり、これぐらいの時間がかかるのを皆さんに情報提供するのが目的」「飲食店の方からは、(配信)を見ていただいて、今混んでいるから」「もう少し一杯飲んでとか、もう少し食事して帰ろうかなというところで、そういった物があれば、会飲食店の方もお客さんに対してもう少し居ていただけるとかあるので、飲食店の方も喜んでいただいているという声は聴いております」
さらに、ドライバー不足解消の手助けとして新たに期待されている取り組みに「日本版ライドシェア」があります。これは、4月から始まった制度で、タクシー事業者に所属するドライバーであれば、人を有料で送迎するのに必要な“2種免許”を持っていなくても、タクシー事業者の車両を使って有料の送迎ができるというものです。首都圏などを除いて、週末の金曜日・土曜日の夕方から早朝にかけてのみ運行できます。
このタクシー会社では、この制度を使って、2人を採用して「日本版ライドシェア」を始めました。日本版ライドシェアは、多くの場合スマートフォンのアプリから客が予約をするシステムのため、タクシーの様に飛び込みで利用することはできません。ドライバーを確保しやすい半面。課題も…。
(日本版ライドシェアのドライバー 滝沢 未知計さん)
「どういうシステムで配車を頼んだらいいか、ここに車があるとかの具体的なことが知られていない」
1日の利用客がゼロの日もあり、予約アプリの認知度が低いことが当面の課題です。2024年問題などタクシー業界を含め、ドライバー確保が難しい時代。
(静岡ひかりタクシー 泉 真 社長)
「本当に、その時間帯だけ見たら、(タクシーが)足りないかもしれないが」「昼間に一生懸命働いている人たち。働き方改革で昼間に働いた人たちを夜中まで引っ張れない時代になってきたので、そういった国の制度を理解してもらいながら、5分待ってもしょうがないかなとか、温かい目で見守っていただけると助かります」
時代と共に働き方が変化する中、利用者側もその変化に寄り添う意識が求められているのかもしれません。
2024.12.11